人類学 における個人、自己、人生 (松田素二 1995:186-204)
出典:『現代人類学を学ぶ人のために』 [共著]米山俊直編,世界思想社,解説:市智河團十郎
1 細部に宿る人類学(→神は細部にやどる)
(決意表明)
2 人類学と個人
構造と体系の時代
デュルケームの社会学主義がラドクリフ=ブラウンに影響を与える
人間の相互作用のなかに社会関係が表出する。その関係は人間の感情をも規定する。それら の感情(人間のカテゴリー間の認識にもとづく)は、さらに社会関係の形成に寄与する(=構造と機能の調和)
E=Pは社会構造概念をさらに押し進める(個人への関心の相対的価値下落)
フォーテス:構造は、諸部分の配置であり、それらの諸部分の生成と変化をみる。
ファース:構造・組織・機能の3つの側面(性質?)のなかで個人の可能性を取り込む
※しかし依然として個人よりも社会構造が優位にあることには間違いない
個人の復権
Frederic Birth, "Models of Social Organization."(1966)で個人への着目を表明(cf. Leach, Highland Burma, 1954)
マンチェスター学派、50-60年代のグラックマンやヴァン・ヴェルセン
状況分析とネットワーク分析
構造的社会関係(範疇的社会関係)vs. 個人的社会関係(→個人のアトム化)
エプシュタイン(1982)ザンビアの鉱山労働者研究
マルチ・アイデンティティ
シュリー(1989):社会構造パラダイム批判とその対抗軸としての複数のアイデンティ ティ(→その後のどのように評価されたのか不明?)
3 セルフとライフの人類学
“彼ら”のライフ
トマスとズナニエッキ『ポーランド農民』(1920)からオスカー・ルイスへ(=ライフ ヒストリー研究におけるシカゴ的伝統)
ライフヒストリー研究の否定的側面の例としてのサミュエル・ンタラ『アフリカの人間』 (1933)
要するに、パパラギ的black legendのことか?(=文明人が自己のないものを「非西洋人」に投影する)。
“われわれ”のライフ
人類学者の生活:彼らの生活との非対称性とその政治性が問題、ただし反省すればよいとい う類の問題ではない
セルフの定立
G・H・ミードの解説:ここでシカゴ的伝統にふたたび回帰?
I/meのダイナミズム:個人に対する機械論への反論として登場:ミードじしんの言葉 「他の人間の目を通じて客観的に自己の内面をふりかえることによって、そこになにか新しいものが生み出される」邦訳『社会的自我』(pp.94-108)
ミードの図式をサルトル『存在と無』に発見する(即自en-soi :それ自身の中に、対自 pour-soi:それ自身のために)この解説は??? 「内省し創造するセルフがおこなう不断の選択」(p.201)の問題を論じるのに、わざわざサル トルの権威を借りる必要もないと思うが・・
4 セルフ志向の人類学のために
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