非営利病院
non-profit hospital
解説:池田光穂
21世紀の世界的な無秩序状態から脱出するための方法論的隠喩の概念で、歴史学者のI.ウオーラ スティン(1999[1998]:83-4)が提案しているもの。非営利という用語から、資本主義の利潤追求を否定した経済システムを意味し、病院という 意味で人間の福利と幸福追求(=病気からの解放)を表象したものと考えられる。
まあ、ゴチャゴチャ言わずに次の引用を読んでおくんなはれ。
「あらゆる経済組織は非営利的な組織であり、しかも非国家的管理は、自由で非常に広範に用い られさえする選択肢であるとすればどうだろうか。
わたしたちは、今日までの数世紀の間、このシステムをいわゆる非営利の病院のなかで経験して きた。それらは民間の病院や州立病院よりも悪名高いほど非効率で、医学的な能力がないのだろうか。わたくしの知る限り、まったくそういうことはない。実際 にはたぶんその反対である。このことがどうして病院に限定されなければならないのか。非営利の病院モデルに基づいた非営利の電力会社はありえないのだろう か。
もちろん、今日の趨勢は、病院においてさえも、利潤を目指す民間組織をモデルにする方向に向 かっていると言えるだろう。それは疑いないが、しかし、このことは明らかにわたしたちの現在のシステムの基礎にある万物の商品化の結果なのである。それは 効率を改善しているのか。健康管理を改善しているのか。
その支持者が用いる主要な議論は、それが健康管理に要する費用を増やさないだろうということ である。個人的にはわたしはそうなるとは思わない。可能性として高いのは、これまでの健康管理費用が新たに資本蓄積に振り分けられるということである。そ ういうことは本当に好ましいのか。誰がそれを望むというのか」(ウォーラスティン 1999:125-6、ただし改行は引用者による)
■資本蓄積の解説
資本蓄積(Capital accumulation)とは「マ ルクス経済学においては、資本制再生産において、剰余価値の一部が再び資本に充当される」過程のことをいい、新古典派経済学では、資本形成のことをさす。 前者では「生産過程において生み出される剰余価値は、単純再生産に見られるように資本家の消費で全てが支出されるのではなく、一部が新しい追加的な資本に 転用される。その結果として資本の蓄積が起こり」生産規模が拡大し、経済成長となる。後者では、単純に「民間・政府部門での在庫品や固定資本などの資本の 増加」をそのように呼ぶ。-ウィキ「資本蓄積」
"Capital accumulation (also termed the accumulation of capital)
is the dynamic that motivates the pursuit of profit, involving the
investment of money or any financial asset with the goal of increasing
the initial monetary value of said asset as a financial return whether
in the form of profit, rent, interest, royalties or capital gains." - Capital accumulation.
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