熊本文化人類学
第3号, 2004
目次
小特集(1):帝国医療研究の地平
奥野克巳:医療のポストコロニアルとコロニアル——人類学の近代医療研究の可能性をめぐって——(OKUNO Katsumi: Post-colonial and Colonial in the Context of Medicine: Towards a New Perspective of Anthropological Study on Modern Medicine )…………
山崎剛:帝国医療としての熱帯医学——「人種」および「人種主義」という観点からの考察の試み—(YAMAZAKI Gou: Tropical Medicine as Imperial Medicine: A View from the Perspective of "Race" and "Racism")…………
論文
林田康子:情報管理としての精神医療——デイケア作業療法を中心として——(HAYASHIDA Yasuko: Psychiatric Treatment as Information Control: A Case Study on Day Care Occupational Therapy)……
松岡陽子:文化接触の場面を生きる人類学者——人類学者とネイティブ間の互酬関係から——(MATSUHOKA Yoko: The anthropologists on the scenes of cultural contacts: The reciprocal relations between the anthropologists and the natives)…………
小特集(2):保健医療の社会的構築
池田光穂・田口宏昭・野村亜由美・林田康子・嶋澤恭子:保健医療の社会的構築に関するプロジェクト研究(IKEDA Mitsuho, TAGUCHI Hiroaki, NOMURA Ayumi, HAYASHIDA Yasuko, and SHIMAZAWA Kyoko: A Research Project on Social Construction of Medicine and Health Care)…………
野村亜由美:老いとぼけの社会的構築(NOMURA Ayumi: Social Construction of Aging)…………
林田康子:精神障害に関するこれまでの研究と考察(HAYASHIDA Yasuko: The Review and Examination of the Studies on the Mental Illness and Mental Disorders)…………
嶋澤恭子:出産をコントロールするということ——リスクの再生産と産科学技術——(Risk and Human Reproduction: How to Manage Natural Childbirth in Modern Biomedicine)…………
池田光穂:疫学と文化人類学——その共同の可能性——(Epidemiology and Cultural Anthropology : Their Possible Collaboration)…………
2004年1月
熊本大学文学部文化表象学教室/熊本大学大学院社会文化科学研究科文化学専攻文化形成論講座(連携先)
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前号までの目次
『熊本大学文化人類学調査報告』第1号(1997),114pp.
□特集:東南アジアにおける伝統音楽の観光化■タイ国の観光における音楽と芸能—バンコクの事例から—/櫻井哲男・石原笙子, pp.7-42■マレーシアの舞踊ショー—伝統音楽の観光化に関する表現形態の比較分析—/前田弘, pp.43-86■シンガポールの観光政策/石森秀三, pp.87-96■マレーシアの民族文化観光/石森秀三・前田弘, pp.97-114.
『熊本大学文化人類学調査報告』第2号(1998)
■ライフ・ヒストリーにみる炭坑労働者像—閉山間近の三井三池炭鉱労働者の「語り」より—/永吉守, pp.1-96■フィールド・ライフ—熱帯生態学者たちの微小社会活動に関する調査の概要—/池田光穂, pp.97-135.
執筆者(掲載順)
編集後記:
新生『熊本文化人類学』をお届けします。この雑誌は不定期刊行物で、熊本大学文学部地域科学科の文化人類学教室の初代教授であられた櫻井哲 男先生の発案により1997年3月に『熊本大学文化人類学調査報告』というタイトルのもと第1号が刊行されました。続いて第2号は1年後の1998年3月 に順調に発刊したかと思われました。しかし、その後6年の長きにわたり沈黙したあと、装いも新たにして『熊本文化人類学』として刊行することになりまし た。このような歴史的経緯をふまえ、本誌は『熊本大学文化人類学調査報告』の号数を引き継ぐことになりました。その間、文化人類学教室は民俗学教室と統合 し、文化表象学教室と改称して今日に至っています。また、今回の寄稿者の中には本大学大学院社会文化科学研究科の大学院生(博士課程)が多く含まれてお り、地方国立大学である熊本大学も今年4月からの独立行政法人化に伴い、少しずつ文化人類学を学部から大学院博士課程まで教育指導できる基盤が整備されて きました。また今回は、桜美林大学や南山大学大学院の気鋭の先生方の論文も寄稿していただくことができました。また本刊行は熊本大学大学院社会文化科学研 究科の研究プロジェクト「保健医療の社会的構築に関する研究」による助成により特集(2)の企画を組むことができました。関係者の皆さん、本当にありがと うございました(G. Tarumi)。
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