<周辺的参加>と<十全的参加>トポロジー
弁士:池田光穂
12 <周辺的参加>と<十全的参加>トポロジー
「正統的周辺性というのは、権力関係を含んだ社会構 造に関係している複雑な概念であ る。人がより一層強く参加するように動いてゆく場として、周辺性は権力を行使する位置 にある。また、より一層の十全的参加からは距離をおかれている──これは社会全体をよ り広い観点から見ればしばしば正統的なことだが──という点で、権力を行使できない位 置でもある。それ以上に、正統的周辺性は、関連する共同体の結節点だとも言える」 (p.11)。
「十全的な参加は……周辺性の概念のある一側面を浮 き彫りにしたに過ぎない。これは 部分的参加(partial participation)とは異なること、あるいは部分的参加では尽くせない ことに強調点をおく。私たちの用語では、周辺性は積極的なことばでもあり、これに対す るもっとも明確な概念上の反意語は進行中の活動への無関係性(unrelatedness)あるい は非関与性(irrelevance)である」(p.12)。
「実践共同体では、「周辺」だと指し示せるようなと ころはないし、もっと強調してい うならば、単一の核とか中心があるわけではない。中心的参加(central participation) といってしまうと、共同体に個人の「居場所」に関しての中心(物理的にせよ、政治的に せよ、比喩的にせよ)が一つあることになってしまう。完全参加(complete participation)といってしまうと、何か知識や集約的実践の閉じた領域があって、新参者 の「習得」についての測定可能なレベルがあるかのようになってしまう。そこで私たちは 周辺的参加が向かって行くところを、十全的参加(full participation)と呼ぶことにし た。十全的参加というのは共同体の成員性の多様に異なる形態に含まれる多様な関係を正 当に扱おうと意図したものである」(pp.11-2)。
文献: 状況に埋め込まれた学習 : 正統的周辺参加 / ジーン・レイヴ, エティエンヌ ・ウェンガー著 ; 佐伯胖訳<ジョウキョウ ニ ウメコマレタ ガクシュウ : セ イトウテキ シュウヘン サンカ>. -- (BN09930787) 東京 : 産業図書, 1993.11 27, 203p ; 20cm 注記: 解説: 福島真人 ; 文献: p118-121, p176-181 ISBN: 4782800843 別タイトル: Situated learning : Legitimate peripheral participation 著者標目: Lave, Jean ; Wenger, Etienne, 1952- ; 佐伯, 胖(1939-)<サエ キ, ユタカ>
Situated learning : legitimate peripheral participation / Jean Lave, E tienne Wenger. -- (BA13636737) Cambridge [England] ; New York : Cambridge University Press, 1991 138 p. ; 24 cm. -- (Learning in doing : social, cognitive, and compu tational perspectives) -- : hard;: pbk 注記: Bibliography: p. 125-129 ; Includes index ISBN: 0521413087(: hard) ; 0521423740(: pbk) 著者標目: Lave, Jean ; Wenger, Etienne, 1952-
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