暗黙知
Tacit Knowledge
暗黙知(tacit knowledge)とは次のような知識(form of knowledge)のことである。経験にもとづく身体上あるいは勘のような感覚上の知識であり、言語的表現ができないものをさす。1966年にマイケ ル・ポラニー(1891-1976)が『暗黙知の次元』において提唱した用語(概念)である。暗黙知と[正反対の意味で]対照をなすのが、明示的知識 (explicit knowledge)である。
しかしながら、ポラニーによる暗黙の知識への指摘を通し て、言語化できる/できないという弁別的特徴をあげて、知識のタイプを分類することが彼の主眼にあったのではない。
ポラニーは人間にとってより重要な事実をいうことにあるの だ。それは「私たちは言葉にできるより多くのことを知ることができる」(p.18)ということである。すなわち、言葉にすることのできない認識が存在する ことの存在論的意義を説いているのである。
しかし、他方で、これは我々の身の回りの人間的現象を言葉 で説明できないのだという諦めの表現ではない。これは言語による説明の限界を示すことであり、言語の限界へ挑戦することを諦めることではないのだ。
またポラニーが説明するように、明示的知識と暗黙知の違い
を意識するためには、ギルバート・ライルのいう「何かを知っている(knowing
what)」と「やり方を知っている(knowing how)」を区別しなければならないことと照応する。
リンク
文献