07■M氏の奥さんのこと
「M氏の奥さんの曾祖父はメキシコからやってきてモモステナンゴの先住民の曾祖母と結婚してここに住んだという。彼女の母親はインディヘナに対する差別ゆ えに伝統的なウィピルを着ることを辞めてしまい、彼女もそのように育った。そのため彼女はずっとラディノの衣装を着ている――このあたりの表現は難しい。 というのは彼女はしばしばS氏(同行した韓国出身の人類学者)の質問に答えて「インディヘナは自分のアイデンティティを未だ持ったことがない」と言いき り、伝統的な祭礼やカトリックの信仰が先住民の「アイデンティティ」を表象するもの、あるいは一部を構成するものと(研究者が捉えるような)理解をしてい ないからである、と述べた」(1999年7月29日のノートより:キチェ県モモステナンゴにて)