眼のことば
2008年度 第1学期
ディスコミュニケーションの理論と実践
第 2回
4月17日 西川 テーマ:眼の言葉
参考文献:
-久保田テツ、『DVD:眼の言葉』
-ALSと共に生きている中水浩貴のWEB (http://tokunoshima.web.infoseek.co.jp/nanten/)
2008/04/17 第2回 ディスコミュニケーションの理論と実践 (担当:西川勝)
★DVD『眼のことば』(2005年)
企画:西川勝、久保田テツ 制作:久保田テツ
★ALSと共に生きている中水浩貴のWEB
http://tokunoshima.web.infoseek.co.jp/nanten/ より
★ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)は、運動神経だけを徐々に冒していく原因不明の難病です。大阪市に住む中水浩貴(なかみず・ひろたか)さんは、平成11年12月24日クリスマスの日、ALSの告知を受けます。つらい闘病生活の中で、彼は生きることの意味を問い続けています。現在は、人工呼吸器を装着し在宅でケアを受けています。彼は病気のために、思うこと、感じることを話すことは出来ません。文字盤を目で追い、まばたきで意思を表明します。身体が動かない苦しみに加えて、自らの思いを伝えることの困難が切迫しています。でも、聴いてほしいのです。人と人が共に生きる上で不可欠なコミュニケーションに非常な困難を抱えるとき、私たちは、何を考え、どうすればよいのでしょうか。
★宮澤賢治の詩
「眼にて云ふ」
だめでせう
とまりませんな
がぶがぶ湧いてゐるですからな
ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから
そこらは青くしんしんとして
どうも間もなく死にさうです
けれどもなんといゝ風でせう
もう清明が近いので
あんなに青ぞらがもりあがって湧くやうに
きれいな風が来るですな
もみぢの嫩芽と毛のやうな花に
秋草のやうな波をたて
焼痕のある藺草のむしろも青いです
あなたは医学会のお帰りか何かは知りませんが
黒いフロックコートを召して
こんなに本気でいろいろ手あてもしていたゞけば
これで死んでもまづは文句もありません
血がでてゐるにかゝはらず
こんなにのんきで苦しくないのは
魂魄なかばからだをはなれたのですかな
たゞどうも血のために
それを云へないがひどいです
あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが
わたくしから見えるのは
やっぱりきれいな青ぞらと
すきとほった風ばかりです。
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