シンポジウム
21世紀における臨床コミュニケーションの未来像
2008年度 第1学期臨床コミュニケーション I
担当: 池田光穂
シンポジウム:21世紀における臨床コミュニケーションの未来像
2008年7月15日 CSCD臨床コミュニケーション教員
これまでの対話と討議による一連の授業では、人間による臨床コミュニケーションのさまざまな諸相を取り扱ってきました。臨床コミュニケーションとは、人間が社会生活をおこなうかぎり続いてゆく、ある具体的な結果を引き出すためにおこなう対人コミュニケーションのことです。ここで言う臨床とは、狭い専門領域としての臨床(clinic)ではなく、その現場における実践状況(human care in practice)のことをさしています。
これらの授業では沈黙(第2回)、騙り(3回)、共在(4回)、身体の痛み(5回)、未来の運命(6回)、問題解決技法(7回)、語りの意味(7回)、宇宙人ジョーンズ(8回)、情報の秘匿と公開性(9回)、紛争(10回)、謝罪(11回)などのテーマを手掛かりにして、臨床コミュニケーションの具体的諸相とそれぞれの現場が抱える問題とその解法あるいは[解決という次元から一歩身を後退させて]問題の根底にあるものについて考えてきました。
ついては来るべき7月15日には、みなさんと共におこなってきた授業の総決算として下記のような要領で学生とCSCD教員によるシンポジウムを開催します。要綱をよく読んでいただき、ふるって建設的な意見をご持参(=宿題)していただくようお願い申しあげます。
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◆ 要綱
テーマ:21世紀における臨床コミュニケーションの未来像
シンポジウム提案の趣旨:
ミレニアム以降の我々の社会(小さなコミュニティから地球社会まで)における臨床コミュニケーションというものは変貌を続けているのだろうか。もし変化しているのであれば、何がどのようにどの程度のペースで変わっているのだろうか?――逆に大きく変化していないのであれば、その中核の部分には臨床コミュニケーションのどのようなテーマや理念がこれまでと同様に伏在しているのであろうか? 変化するもの/変化しないものという視座の対比法・対位法は、我々の議論を活性化させ、同時にこれまで議論の中で見落としてきたものを甦らせることを可能にする。
具体的な作業:
各人が「21世紀における臨床コミュニケーションの未来像」に関する具体的なビジョンを来週の授業までに準備する。来週の授業の冒頭20分において各グループのメンバーは、その具体的なビジョンに関して全員がそれを披瀝し、もっとも魅力ある提案を合議にもとづいて選出する。メンバーは、その代表案の内容を改善するコメントを付加することで提案内容をより魅力的にする。残りの55分を使い全体討論をおこなうが、各グループの代表者ならびに教員も加わり、その提案を持ち寄ってシンポジウム形式で壇上で報告をおこなう。後にフロアを交えて議論をおこない。最終的に、本年度の「臨床コミュニケーション1」の受講学生・院生による〈21世紀における臨床コミュニケーションの未来像〉宣言にむけて[少数意見を尊重しつつ]合意するような形で議論をまとめる。これにより今年度の受講学生・院生と教員の総合的成果とする。
(文責:池田光穂)
2008年7月8日に配布した資料[Matome_RinCom_2008.pdf]
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