はじめによんでください
文化・宗教に関する配慮(医療従事者向け)
医療通訳に関するティップス
■言語の翻訳と文化の翻訳
外国人患者の医療保健機関受診時には文化の違いに細心の注意を払うべきです。私たちは日本文化のなかで日本の医療を受けますが、この両方の 領域そのものが世界的にみても特殊なものであることは、日本人あるいは日本の文化に馴染んだ医療通訳にはなかなか気づかれません。以下の点に注意して、患 者やその付き添いの家族が躊躇するようなそぶりを見せたり、異論を発する時には、文化の壁が原因になっている可能性があります。ここでは、言語の翻訳に は、文化の翻訳という行為が生じていることを理解することが重要です。
・受診の手続きや治療方針などへのためらい(手続きや制度の違い)
・ジェンダー(男性/女性)が異なると治療してはならない可能性がある
・宗教の違い、とりわけ食事や周産期(妊娠・出産・産後)
・同じ宗教でも宗派などで、生活上の禁止(禁忌:きんき)事項が異なる
■わからないことは、聞き返しのコミュニケーションで克服しましょう!
このような違いは、文化による違い、社会による違い、集団による違い、家族による違い、そして個人的心情の違いなど、ほとんど無限の組み合 わせが考えられますので、暗記したことから対策を講じることは不可能です。言語の翻訳上の間違いは、患者に対して心理的な影響も与えますので、治療の効果 にも影響します。本人および家族とよく話しあって情報収集をすることが大切で、柔軟に個別の対応をすることで信頼関係を深めてゆくしか方法はないようで す。このような情報収集の経験を積み重ねていくことは、医療通訳の現場のコミュニケーション能力を鍛えることになりますので、決して疎かにはできません。
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