臨床コミュニケーションをデザインする
Designing Human Communication in Practice
臨床コミュニケーション1_2010 年7月13日における、大学院生による「21世紀における臨床コミュニケーションの未来像」シンポジウムの記録
◎なかがわさん報告
・言語の多様化、社内で英語を使うトレンドの登場。
・多文化とのコミュニケーション
・他業種とのコミュニケーション
・英語が標準化
・移民労働が増える
◎かじのさん報告
・身体コミュニケーション
・ものごとを正確に伝えることができない状況が生まれつつある
・ことばのみならず、身体をもちいて伝える(身体配列)
◎おかださん報告
・かわったもの、かわっていないもの
・おもいやり、人間らしさ、人とひとをつなぐもの
・文面でのコミュニケーションが増え、直接コミュニケーションが減ったのでは?
・ツイッター、チャット、ブログなど
・直接的なコミュニケーションの様式はそれほど変わっていないのでは?
◎こばしさん報告
・21世紀は、グローバリゼーションと科学技術の発展だ
・あいまいさや不正確さの増大
・文化の多様性(ひとりひとりに、その認識の必要性が向上)
・多文化間のコミュニケーションの増大の帰結としての、媒介者の必要性
◎いわささん報告
・IT化、グローバリゼーション
・技術の進歩について深く掘り下げよう。
・文字のコミュニケーションがすすむ
・移動の必要性がない。
・会っていないのに、会っているような「錯覚」が生まれる。
・対面コミュニケーションがおろそかになるのでは?
・社会のなかで排除される人がでる。
・コミュニケーション格差が生まれる。
・どのようなポジション(納得してもらうため)
・共通の文化はなにか?
◎くまざきさん報告
・コミュニケーションを体験すること、意識化の重要性
・触常者の重要性
・障害者ではなく「個性」と捉えることの重要性
・身体配列(例:末期ガンの患者さんへの立ち位置、身体の向け方)
・わかったつもりになってはいけない(例:オキモトさん)
・国籍、宗教、性別、年齢などの要素が関連するが、わかりやすいもの、相互に関連してわかりにくいもの。
・必要なコミュニケーションとはなにか?
・場を創造することの重要性
■ながい(司会)さん
・なかがわさんに:身体と言語が大切とのことだが簡潔に言うとどういうことなのか?
◎なかがわさん報告
失われているものを見直す。言葉を見直す動きについて
■いけだ質問:状況は楽観的?悲観的、その根拠は?
◎かじの;悲観的だ。直接コミュニケーションがなくなる。メールなどはリアルタイムで伝わるが、考えることが少なくなるのでは?、また身体への
◎たにぐち:悲観的:ツイッター、ミクシーなどの動きのなかで、音楽を聴くことが同時におこる。
◎会場アンケートでは、楽観的が悲観的よりも多め。
◎いしい:楽観的に考えたい。中川さん指摘のトレンド。新しいところに限界を感じて回帰する傾向もある。コミュニケーションと時代のながれ。も し、革新的なものがでてくれば、その方向に進み、なければ回帰傾向にある。
◎ふじい:ツイッター、ミクシーで、コミュニケーションの機会はもっと増える(たとえば昔の同級生発見のツールとして可能性あり)。IT化で楽 観的。
◎ことう:楽観的。コミュニケーションが増える。つまり24時間コミュニケーションができる(逆にいうと強制的につかわされる。) (*^_^*)を進歩させればいい!
◎さとむら:またしても楽観的!悲観的な見解に対して、コミュニケーションの取捨選択ができる。選べるオプションがあるのが健全なのでは?3D に身体感覚を組み合わせたITコミュニケーションが生まれる。
◎はやし:悲観的の意見を出してみたい。参加者の多くが、ものごごろついてからすでにITの恩恵を被っている。今うまれたての人たち。コミュニ ケーションツールで傷つく(例;ネットいじめ?)、あるいは依存(中毒)の人たちが登場(通信制の高校での経験)。しっかりと選びとれるひとたちはOK. しかし最初からある人たちには、不適応の問題が出てくる可能性がある。
◎にしむら:楽観的に考えているが、はやしさんの指摘で。看護職なので、苦しい、痛い、眠れない、吐く人たちと付き合ってきた。身体としてある 人とのコミュニケーションに最後は回帰しなければならない。あたり前なので自然にとらえられるが、そうではない人もいるし、自然に使える人も、そうでない 身体状態になった時にどうなるだろうか?_そのような人たちに
◎やまだ:悲観的です。いいコミュニケーションツールなのだが(これまでネットの進化で恩恵を被ってきたが)人間がツールにどんどん巻き込まれ てしまう。とりわけ、子供は巻き込まれ度がはやい(高い)。使えるようになってから。
◎いけだ:ネットいぢめと、コミュニケーションツールの発展の関係は?あるいは問題の是正について意見が聞きたい
◎もりかわ:コミュニケーションツールが生まれる前からいぢめはあった。ツールの発達とは無関係かもしれない。
◎ながい:もともと本来、人間の基本的要素がある。ITはそのコミュニケーションの方法が変わってきたのでは?
◎おかだ:悲観的。コミュニケーションは直接やることが基本。ミクシーで寂しさをまぎらわすと、それで解消できるか(あるいは依存してしま う?)
◎こばし:楽観的。問題意識がそれを解消する方向に議論がすすむ。
◎いわさ:楽観的な意見が多いので驚いてしまった(つまり悲観的に変化した)。とりのこされていく人たち。また、IT化以前に戻る可能性もあ る。
◎くまざき:前の人がハザードランプを照らしてほっとした経験。コミュニケーションの方法は変わってきているが、楽観的。最小単位でのコミュニ ケーションが希薄になってきた。
___________________
■まとめと総括(司会:ながいさん)
・一方的ではない、双方
・当事者が考え、コミュニケーションをしてゆく
・相手の言いたいことを考えながら、かかわりあうこと
・ツールは便利、使い方を間違えると誤解。
・時代によってコミュニケーションはかわる。21世紀は予測不能?_可塑性が高い社会。つよいことだが、こわい。表面的に流れてはいない か?いろいろなキーワード。相手のことがわからない時代。身の回り、うつ、認知症、病いを抱える人たちとのコミュニケーションから問題関心が拡がってき た。
・未来は暗いか明るいか?
「人間は変わっていけるもの、実践を続けよ!!!!!!」
池田のコメント
・「ざらざらとした」ベースにもどれ!(Back to the rough ground! L.W., PHILOSOPHICAL INVESTIGATIONS, 107)
・最初にノイズありき!(ノイズがあるからそれを縮減しようとしてコミュニケーションが生まれた?)
・時間性の中を生きる存在(コミュニケーションの持続性を信じないと誰もコミュニケーションを開始しないだろう)
・修復可能性(フィードバックがあるから、コミュニケーションは面白い!)
・実践理性(臨床コミュニケーションは漫然としたコミュニケーションではなく「目的」をもつコミュニケーションである!)