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CMC場面での非言語情報
宮本友介
ヒューマンコミュニケーション第9 回(2012 -06-14)
CMC場面での非言語情報
宮本 友介
【Mehrabian の神話】
心理学者Albert Mehrabian は,実験により「対面コミュニケーションにおいて,人が他人から受け取る情報の割合は,言語情報(verbal) が7%,聴覚情報(vocal) が38%,視覚情報(visual)が55%」である,との法則を見出した。これは「Mehrabian の法則」あるいは「7-38-55 の法則」と呼ばれる_

この「法則」はコミュニケーションにおける非言語情報の重要性を示す例として挙げられるが,Mehrabian がおこなった実験の結果よりも過度に一般化されてしまっている。彼の実験では,相手が示す態度(好意ー嫌悪)について,言語チャネル(言葉の内容)と非言 語チャネル(声のトーン,顔の表情)に不一致があったときに,どちらがより判断に影響を与えるかを調べている。また,使用された刺激も会話ではなく単語で あり,顔の表情は写真で提示されている。他の非言情報については統制されているので,日常的な会話における割合はまったく異なったものになるだろう。

しかし,割合はどうあれ,対面コミュニケーションにおいて非言語情報が重要な役割を果たしているということは,疑う余地がない。では,非対面のコミュニ ケーション――たとえば,コンピュータ・ネットワークを介したコミュニケーション(CMC; computer-mediated communication)ではどうだろうか。よく使われるのは,電子メール,チャット,Twitter などだが,これらの場面では,非言語情報の多くがごっそりと抜け落ちている。にもかかわらず,そこそこコミュニケーションが成り立つツールとして役立って いるようにも思える。

【本日の課題】
1. CMC 場面において,非言語情報チャネルが欠損しているためにコミュニケーション不全が起こる事例についての経験を述べ合ってみよう。
2. CMC 場面において,非言語情報チャネルが欠損していることを補う方法を考えてみよう。

オリジナル資料:

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(c)Yusuke MIYAMOTO, Copyright 2012

Prof.Yusuke MIYAMOTO, photo by Mitzub'ixi, 2015