「自然の鏡(Mirror of
Nature)」とは、リチャード・ローティ(Richard Rorty,
1931-2007)が、自然を忠実に映し出す心、彼の言葉によると我々に「正しい意見」を与える心的装置につけた比喩・メタファーのことである。
そこで問題化されるのは、デカルト、ロック、カントにはじまる近代哲学が、知識、真理、主客の二元論に正当性を与えるために、自然を忠実に映し出す心の
役割を、その認識論において押し付けてきたのだという。
文献
- ローティ、リチャード『哲学と自然の鏡』野家啓一監訳 、産業図書, 1993年(Richard Rorty, 1979.
Philosophy and the Mirror of Nature. Princeton University Press.)
グレイディのプライマリー・メタファー論(レイ
コフ+ジョンソン『肉中の哲学』計見一雄訳、Pp.67-71、哲学書房、2004年[Lakoff,George and Mark
Johnson. 1999. Philosophy in the flesh : the embodied mind and its
challenge to Western thought. New York: Basic Books.]による)
- 親愛は暖かさ
- 重要は大
- 幸福であることは上にあること
- 親密は接近
- 悪いは臭い
- 困難性は重荷
- 沢山は上方
- カテゴリーは容器
- 類似性は接近
- 線形尺度は経路(訳語は変えました)
- 組織することは物理的な構造
- 助けは支え
- 時間は運動
- 状態は位置
- 変化は運動
- 行動は自己推進的運動
- 目標は目的地
- 目標は欲せられた対象
- 原因は物理的力
- 関係性は囲まれていること
- 制御は上方
- 見ることは知ること
- 理解は把握
- 見ることとは触れること
身体経験と、メタファーとの関係としては、他に……
- 記憶の問題
- ジョージ・レイコフ
- マーク・ジョンソン