かならず 読んでください

読書の方法

How to read your own books and borrowed books

池田光穂

「英 知を目指す巡礼の途にあるユー グは、ラテン語のはしごをよじ登り、アッシジのフランチェスコは、イタリアの街角にはだかの自我をさらすのだった」——イヴァン・イリイチ『テクストのぶ どう畑で』岡部佳世訳、p.76、法政大学出版局、1995年

これから初学者のみなさんに、読書の方法について、 アドバイスしたいと思います。

資料を読解することは、人間がもっとも効率よく知識 を収集方法の一つです。そして、それにもコツがあります。

 読解の技法(1):アウトライン(おおまかな粗筋=あらすじ) を把握しましょう!

1. なぜ、その本(=テキスト、ウェブページ)を 手にしたかを考えてみましょう。

ふと何気なくでも良いのです。出会いには理由 があります。このような想起は、図書や文献に関する重要な記憶の要件になります。

2. その情報を読む前に、収穫を期待する個別情報 について考えましょう。

本の内容が面白かったりすると、それ自体(=欲望 を満たすこと)が目的になり、何のために読んでいるのかわからなくなります。中心を見失うと、本という情報の森の中で、同じところをぐるぐる回ることにな ります。

3. その本(=テキスト、ウェブページ)について の予備的印象をもちましょう!

【チェック項目】タイトル(標題と副題)、著 者名、刊行年、出版社、目次、序文、スタイルなどが手がかりになります。装丁(そうてい)に関する心証も本を楽しむ時の喜びになります。

4. 全体をさっと読む(概読[がいどく:私の用語 です]・速読・抄読)ことが重要です。

速読ではありませんし、特殊な能力は必要ありませ ん。漫然と読み飛ばしてもかまいません。自分の調べていることや関心のあることを、目次や索引のなかに見つけてそこから拾い読みするのもいいでしょう。索 引のキーワードから拾い読みするときは、その用語で指示されている全てのページをチェックします。いいのがないので途中で断念するのは、不確かな記憶と間 違った心証(=「必要な情報はなかった」)を植え付けてしまう弊害があります。

5. このテキストをどのように再読するかについて の方針を立てます(2.を立て直すのです)。

一回でわかる時もあるし、3度目でわかる時もある し、読解というのはギャンブルに近いものがあります。ギャンブルもやりつづけると、時々当たる?!でしょう。だから止められなくなるのです。読書もやめら れなくなるような「身体改造」が必要ですね!

6.. 必要な箇所(場合によっては全部)を精読 (せいどく)します。

【必要用具】借用本の場合はポストイト(=商 品名、付箋(ふせん))、個人蔵書はマーカー、鉛筆ならびに読書ノート(あるいはパソコン)

7. 必要な箇所をノートにとります。

【チェック項目】かならず出典の書誌をメモす る。要約(カッコなし)と引用(「」あり)を区別する。引用はカッコの後に引用箇所を(垂水 2001:23-24)などと表記する

8. 読書中は適宜、収穫を期待する個別情報メモを 参照する

丁寧に資料を読むことは、それだけで至福の時 間をもたらすことがあります。ただし、それには、多少の訓練が必要になります。

  読解の技法(2):ねちねち読む(これを精読=セイドクとい う)

1. 著者の主張なのか、引用されている論者の 主張なのかをチェックする。

2. パラグラフ単位に主張が何であるかを考えま しょう。あるいはまとめてみましょう。命題文にしてみるのです。

3. 読みの速度を変化させましょう。眠気覚ましに もなります。

4. 必要な箇所をノートにとりましょう。

5. 自分の資料として活かすために、読み終わった ら事後的に(ad hoc)取ったノートの再組織化をおこなうことが必要になるかもしれません。

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おさらい

1. 著者の主張なのか、引用されている論者の 主張なのかをチェックする。

ある記述についての報告の場合は、記述した事実に ついて論じているのか、記述された 内容に解釈に著者の力点がおかれているのかをチェックします。

2. パラグラフ単位に主張が何であるかを考えましょう。あるいはまとめてみましょう。命題文にしてみるのです。

3. 読みの速度を変化させましょう。眠気覚ましにもなります。

分かっていること、興味のないことはすっ飛ばして 読んでもいいのです(あなたが「御 主人様」です。本が「召使い」なんですよ)。興味のあること、重要と思うことに精力を集中させましょう。ただし、逆説的だが、分かっていることや興味のな いことに、落とし穴や将来重要になる(=興味が出てくる)ことが発見されることもあります。このミスを防ぐには、なぜすっ飛ばしているのか、その理由を自 覚することは必要になるかもしれません。

4. 必要な箇所をノートにとりましょう。

【チェック項目】かならず出典の書誌をメモする。 要約(カッコなし)と引用(「」あ り)を区別する。引用はカッコの後に引用箇所を(垂水 2001:23-24)などと表記しましょう。後でアクセスするための、転ばぬ先の杖です。

5. 自分の資料として活かすために、読み終わったら事後的に(ad hoc)取ったノートの再組織化をおこなうことが必要になるかもしれません。

楽しい学術的読書を!

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John the Apostle, common attributes include a book or scroll, in reference to the writings traditionally attributed to him, and an eagle, which is argued to symbolize the high-soaring, inspirational quality of these writings.

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St. John the Baptist,  is also depicted as an ascetic wearing camel hair, with a staff and scroll inscribed Ecce Agnus Dei, or bearing a book or dish with a lamb on it

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