かならず 読んでください

著作物を「長期間に高く」売る方法

Look!! how to sell your academic paper with more expensive than before

池田光穂

オリジナルクレジット:「論文を実勢よりも「高く」売る方法」を改変

Res tantum valet quantum vendi potest -  A thing is worth only what someone else will pay for it.

【原則】

1.その論文(以下は著作物一般とお考えください) へのニーズが高くなくても、その論文に 「価値」があると、論文を評価する人(=他の権威者)がいれば、結果として、高い収益をはじきだすこと ができる

2.論文の制作コストがやすいものは、利ざやを稼げ る。論文の利ざやを高くする方法は、調べた成果の「調理」(=理論的位置づけ、先行研究の渉猟、そして 論文自体の独自性)次第によるが、論文の場合「制作コスト」を正確に計量することができない。

3.制作コストをこまめに減らす方法は、調理の効率 化である。つまり要領よく、理論的位置づけを考案し、先行研究の渉猟をてきぱきとおこない、そして論文 自体の独自性が何であるかを自己評定する能力の涵養が求められる。この場合のコストは、百分率ではなく、絶対額(時間×金額)で考える。つまり、絶対額を 極小化するためには、日々の節約のみならず、豪奢な(時間×金額)消費をなるべく控えるようにしなければならない。

4.費用対効果という発想は、未来に対する期待を大 きく見積もる傾向がある。したがって、費用対効果は後知恵の評価で考えるべきで、投資の文脈で使うべき ではない

5.論文の価値が他者に認められるとは、相手が等価 交換してもよいと思う時に生じる。

6.本業(研究)で儲けなくても、副業(教育)で利 益があがれば、商売はなりたつ。ここでの〈儲け〉とは、他者からの学術評価、〈利益〉とは社会的評価全 般、そして、〈商売〉は大学教員としてのなりわいである。——連結決算の発想でいこう!

7.優秀な研究者は、ローリスク・ハイリターンで研 究している。ローリスク・ハイリターンとは、得意分野で予算内の投資で研究を回せることである。

8.知的「在庫」とは、物量のことではなく、知識の 量のことである。現実の在庫(物象化した書籍や論文等)は、多ければ多いほど、管理コストがかかり損を する。つまり、維持コストで無駄をする

9.支払い(=論文作成準備)は早期から準備し、回 収(=成果が見えるようになってからの公刊)は迅速に

10.雑誌に登場する知識人はなぜ「多産」なのか? ——世間受けする人気のある知識人の論文(例:『現代思想』所収)をみてごらんなさい。中身が薄いわり には、談論風発で面白い。彼らは、在庫(=該博な知識)を持ち合わせておらず、受注(=編集者の依頼)があると生産するからである。つまり、彼らにはアイ ディアを紡ぎ出す能力のみがある——もちろん事前の努力の賜物である受注があって生産するので、在庫をもたずに新鮮な視点で議論が可能になる

11.論文は生ものである——多くの論文は公刊から 以降、急速に引用されなくなる。「勝ち組」の論文は、ロングテールの特徴をもつ。中身の在庫(=該博な 知識)は、すぐに陳腐化するが、彼らの発想は「時間を超越したアイディア」に満ちているからだ。

"ロングテール(long tail)とは、インターネット を用いた物品販売の手法、または概念の1つであり、販売機会の少ない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えること、または対 象となる顧客の総数を増やすことで、総体としての売上げを大きくする。……Wired誌の編集者にクリス・アンダーソン(Chris Anderson)による用語" - Wiki, ロングテールlong tail

"In statistics and business, a long tail of some distributions of numbers is the portion of the distribution having many occurrences far from the "head" or central part of the distribution. The distribution could involve popularities, random numbers of occurrences of events with various probabilities, etc.[1] The term is often used loosely, with no definition or arbitrary definition, but precise definitions are possible."- long tail.

出典(図像をクリックでも可能):https://bit.ly/2XwGpw1

12.大量在庫ができるようになる研究者は、もはや 「オワコン(just finished old contents)」である潰れる研究者とは、大量に仕入れても、アウトカムを少量にしか生産できない者である。

13.【在庫】に関する考え方の整理:1)「いつか 使う文献」はたいがい無駄になる。2)損をしないために在庫を減らすという考え方を維持する。3)使わ ないものはさっさと捨てることに徹する。4)使用期限をきめて捨てる。5)必要なものを必要なだけ揃えるという発想で——余り文献に「残り福」は少ない。

14.論文の「理論」(thesis)を高めに設定 するのは、論文の有効期限をより長くもつためである。読者の関心を引くためとは言え、直近におこった時 事ネタを論文では書かない。それが可能なのは100年以上たった歴史的エピソードのみ。

15.論文発刊が終わるたびに、自分にとっての研究 上の「貸借対照表(=資産や負債をみる)」と「損益計算書(=定期間の利益をみる)」をつくってみよ う。つまり、貸借対照表は、研究者の未来をみるために、そして、損益計算書は研究者としての現在の君をみるためである。

16.ギャンブルの極意は、勝っている時に席を立つ ことにあるという(山田 2005:131)。君の最近刊の論文が過分に褒められても、それは自分の心の内に収めておくべきだろう。直近でも過去の栄光に酔っていてはならぬ。まし てや、同じような論文の執筆依頼がきてもホイホイ受けるものではない。同工異曲には慎重であれ。次の論文は、必ず最初のものよりも水準が落ちるからだ。

17.百人と薄っぺらい関係を築くのではなく、百人 の人脈をもつ人物としっかりした関係をもてという——山田真哉さんによると異業種交流会などに参加する よりも、むかしから良く知る友人と深い関係を続けるほうがましという(山田 2005:144)。

リンク

参考文献

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For all undergraduate students!!!, you do not paste but [re]think my message. Remind Wittgenstein's phrase,

"I should not like my writing to spare other people the trouble of thinking. But, if possible, to stimulate someone to thoughts of his own," - Ludwig Wittgenstein