賢者の贈り物はゲーム論的には失敗なのか?
Is the reciprocity between James and his wife Della failed
game-theoretically ?
池田光穂
『賢者の贈り物』のシノプシス:
貧しい夫婦のジム(ジェームズ)とデラが、お互いに
クリスマスプレゼントをしようとしている。ジム(夫)は、妻(デラ)の美しい髪を留める鼈甲(べっこう、今はワシントン条約で取引が制限されている)の髪
留めを買おうとするが、お金がない。デラは、ジムが祖父から父へと伝わった大切にしている金時計のチェーンを買ってあげたい。そこで、夫は、自分の金時計
を質に入れてお金を借りて鼈甲の髪留めを買った。そして、それと同時に、デラはジムのために金時計の鎖を買うために自分の長い美しい髪を切ってそれを売っ
て金を工面することに成功した。お互いに相手に対するプレゼントをもって二人は出会うことになる……。
相手の事前情報不足によるジムとデラの相互行為 (「賢者の贈り物」)はゲーム論的には失敗の例だが、その失敗こそが賢者の行為だと O・ヘンリーは言う。
はたして、賢者の贈り物はゲーム論的には失敗したと 言えようか?——彼らのつつましい家庭は「刑務所」や「留置場の取り調べ室」ではないからというユーモアも含めてこの問題に取り組んでほしい。
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文献