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実証主義

Positivism

解説:池田光穂

西洋哲学において使われる、実証主義(英語: positivism)は経験的データ自体から確証されるあらゆるタイプの[説明や信条の]システムであり、それはア・プリオリ(先験的: a priori)あるいは形而上学的な推論を排除するような考え方にもとづいている。この用語は、フランスの哲学者(実証主義哲学者とも呼ばれる)オーギュ スト・コント(Auguste Comte (1798–1857))の用語に由来する。以下の説明は、ブリタニカ百科事典(英語オンライン版)の「実証主義(positivism)」 説明に対応している。

実証主義の哲学は、コントの著作に最初に登場する。コントは社会学という述語の考案者でもあるが、体系的な社会学という科学そのものを指す言葉 でもある。その後、経験批判論(empiriocriticism)、論理実証主義(logical positivism)、論理的経験主義(logical empiricism)、分析哲学( analytic philosophy)などの用語で呼ばれるようにさまざまな立場に多様化した。

実証主義の2つのことを肯定的にとらえる:(1)事実というものを認定するあらゆる知識は経験から得られる「実証」データに基礎づけられる。 (2)事実の領域を超えるものは、純粋論理(学)と純粋数学のそれである。この2つの考え方は、18世紀のスコットランドの経験論者と懐疑主義の(「観念 の連関(relations of ideas)」を説いた)ディビッド・ヒュームDavid Hume, 1711-1776)により、すでに指摘されていた。

実証主義に対立する考え方が、形而上学における熟慮(repudiation of metaphysics)——どんな実証可能なものをも超える「超越論的」知恵は現実の本質を見抜く力があるとする立場や主張——である。そのため、実証 主義は、世界性を見ようとする態度、世俗的態度、反神学的態度、そして反形而上学的な態度をとるものとされている。実証主義に対する形而上学的立場を擁護 するものとしては、このように実証主義立場が理解できれば、それに反する考え方が可能なのは、我々が「形而上学的な熟慮」をすることが可能だからという論 法が、経験的あるいは思考実験上可能ではないかと反論することである。

他方、実証主義「実践」の特徴は、観察や経験上における証拠や証言を求める態度である。それはこの主義=信条における命令語法 (imperative)にすらなっている。そのため、この態度により、実証主義者は倫理や道徳哲学を要請するという態度にも反映される。たとえば、道徳 哲学派のひとつの功利主義者(utilitarian)では、「最大の多数者のための最大幸福」ということが彼/彼女らの倫理的格率(ethical maxim)になっている。

コントは、宗教というものを一神教的信仰の神格を崇拝するものではなく、その人間性を崇拝す べきだと主張した。

"The law is this: that each of our leading conceptions – each branch of our knowledge – passes successively through three different theoretical conditions: the Theological, or fictitious; the Metaphysical, or abstract; and the Scientific, or positive."— A. Comte, The Positive Philosophy of Auguste Comte (trans. Harriet Martineau; London, 1853), Vol. I, p. 1.

"Comte's Theory of Science – According to him whole of sciences consists of theoretical and applied knowledge. Theoretical knowledge divide on general fields as physics or biology, which are an object of his research and detailed such as botany, zoology or mineralogy. Main fields mathematics, astronomy, physics, chemistry, biology and sociology it is possible to order according to decrescent range of research and complicatedness of theoretical tools what is connected with growing complexity of investigated phenomenones. Following sciences are based on previous, for example to methodically coll chemistry, we must imply acquaintance of physics, because all chemical phenomena are more complicated than physical phenomena, are also from them dependent and themselves do not have on them an influence. Similarly sciences classified as earlier, are older and more advanced from these which are presented as later." - Auguste Comte.

●ちなみに数学研究のビッグスリーは「論理主義」「形式主義」「直観主義

直観主義 直観主義(ちょっかんしゅぎ、英: Intuitionism)とは、数学の基礎を数学者の直観におく立場のことを指す。これに類する主張は、カントールの集合論に対抗する形で、クロネッ カーやポアンカレによってもなされていたが、最も明確に表明したのは、オランダの位相幾何学者、ブラウワーである。ブラウワーの立場に対してポアンカレら の立場は前直観主義と言われることがある。ブラウワーは、数学的概念とは数学者の精神の産物であり、その存在はその構成によって示されるべきだという立場 から、無限集合において、背理法によって、非存在の矛盾から存在を示す証明を認めなかった。それ故、無限集合において「排中律」、すなわち、ある命題は真 であるか偽であるかのどちらかであるという推論法則を捨てるべきだと主張し、ヒルベルトとの間に有名な論争を引き起こした。
形式主義 形式主義(英: formalism)とは、数学における命題を少数の記号によって表し、証明において使われる推論を純粋に記号の操作と捉える考え方のことを指す。形式主 義の最も原理的な見方では、数学は決められたルール(公理と推論法則)に従って行われるゲームであり、ルールを取り替えることによってできる異なるゲーム は、それぞれ同等である。形式主義によると、数学的命題は確実な文字列処理ルールを必要とする命題と考えられる。例として、(「公理」と呼ばれる文字列 と、与えられた公理から新しい文字列を生成する「推論規則」からなるものとして見られる)ユークリッド幾何学の「ゲーム」では、ピタゴラスの定理が有効で あることを証明できる(それは、あなたが、ピタゴラスの定理に対応する文字列を生成できることである)。数学的真理は、数や集合や三角形やそのようなもの についてのものではない。実際、それは何に「ついて(about)」のものでもない。
論理主義 論理主義(ろんりしゅぎ、英: Logicism、仏: Logicism、独: Logizismus)は、数学全体を論理学の一部とみなし、数学を基礎付け、数学を論理学への還元することができるとする立場である。方法的には、論理 学の諸規則から数学のそれを演繹することが出来ると主張する。ゴットロープ・フレーゲの先駆的な論理主義の仕事を受けて、特にバートランド・ラッセルやア ルフレッド・ノース・ホワイトヘッドによって唱えられた。彼らはその主張を3巻に及ぶ大部の書物『プリンキピア・マテマティカ』(Principia Mathematica, 1910年 - 1913年)のうちである程度実現してみせた。フレーゲの『算術の基本法則』第2巻が刊行直前に控えていた1903年に、ラッセルから後にラッセルのパラ ドックスと呼ばれるパラドックスの指摘が来たため、フレーゲはパラドックス解消を目指すが、最終的には数学的な方法の徹底を放棄した。ラッセルはフレーゲ とは独立に、型の理論(タイプ理論)と呼ばれる方法で、彼自身が発見したパラドックスを避けることに成功したが、その無矛盾性および完全性が証明されてい なかった。

●背理法(矛盾による証明)

In logic, proof by contradiction is a form of proof that establishes the truth or the validity of a proposition, by showing that assuming the proposition to be false leads to a contradiction. Although it is quite freely used in mathematical proofs, not every school of mathematical thought accepts this kind of nonconstructive proof as universally valid.[1]

More broadly, proof by contradiction is any form of argument that establishes a statement by arriving at a contradiction, even when the initial assumption is not the negation of the statement to be proved. In this general sense, proof by contradiction is also known as indirect proof, proof by assuming the opposite,[2] and reductio ad impossibile.[3]
論理学において、矛盾による証明(背理法)とは、命題を偽と仮定すると 矛盾が生じることを示すことによって、命題の真理または妥当性を立証する証明の形式である。数学の証明ではかなり自由に使われているが、すべての数学思想 の学派がこの種の非構築的証明を普遍的に有効なものとして認めているわけではない[1]。

より広義には、矛盾による証明とは、最初の仮定が証明される文の否定でない場合でも、矛盾に到達することによって文を立証するあらゆる形式の論証である。 この一般的な意味において、矛盾による証明は、間接証明、反対を仮定することによる証明、[2]および不可説による証明としても知られている[3]。
https://en.wikipedia.org/wiki/Proof_by_contradiction


リンク

文献

医療人類学辞典

Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

The humanist motto Ordem e Progresso is derived from Auguste Comte's motto of positivism: "L'amour pour principe et l'ordre pour base; le progrès pour but" ("Love as a principle and order as the basis; progress as the goal"). - Wiki.