書くことの楽しさ
joy of writing
「私 は診療メモの中でも――長年にわたって――大量に書いている。ベス・エイブラハムの患者が500人、リトル・シスターズ・ホームの入居者が300人、ブロ ンクス・ステート病院に出入りしている患者が何千人もいるので、私は年に1,000件を優に超えるメモを数十年にわたって書き、それを楽しんできた。私の メモは長くて細かくて、小説のようだと言われることがある。/私はよくも悪くもストーリーテラーだ。物語や話に対する感性は、私たちの言語能力、自己意 識、そして自伝的記憶に同調していて、人類に共通の性向ではないかと思う。/書くという行為は――筆が進んでいるときにはだが――ほかで得られない満足と 喜びを与えてくれる。テーマにかかわらず、書いていると別世界に引き込まれる。文字どおり無我夢中になり、気が散る考え、心配、関心事、さらには時間の経 過さえも忘れる。そんなめったにないすばらしい心理状態にあるとき、私は紙が見えなくなるまで、とめどなく書くこともある。紙が見えなくなってようやく、 もう暗くなっていて、自分が一日中書いていたのだと気づく。/私は生涯にわたって無数の言葉を紡いできたが、書くという行為は、70年近く前に始めたとき と同じくらい新鮮で、そして楽しい」(サックス 2015:463)。
審 問
リ ンク
文 献
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