臨床コミュニケーション1(2回目)20100419
担当:西村ユミ

「コミュニケーション」の難しさ

<講義内容および目標>
対人コミュニケーションが、“うまくできない”“難しい”とは、いかなる経験であるのかを考える。

<受講動機より一部抜粋>
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・自分のコミュニケーションスキルを向上させたい。
・仕事をしてコミュニケーションが難しいor大切だと感じたため。
・一般の人に研究を説明するにあたってコミュニケーション能力が不可欠だと感じたため。
・就職活動の役に立つと思ったから(グループディスカッションの練習など)。
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<授業の進め方>
 16:20-16:35 課題の確認
 16:35-16:45 場面の記述
 16:45-17:15 グループワーク
 17:15-17:35 グループの発表
 17:35-17:45 まとめ

<グループワークの進め方>
1. グループを作る――同じ所属でない人とグループを作る。「視線」を使う/声は出さない。
2. 場所を作る――1グループが5-6名になったら、話し合いやすいように机と椅子を配置する。
3. 司会と記録(=発表者)を決める――記録者も議論に参加する。
4. 自己紹介をする――グループメンバーを確認する。
5. グループ名を決める。
6. 課題についてディスカッションを始める。
7. 時間の配分を考えて、発表の準備をする。

<課題>
(1)場面の記述:コミュニケーションがうまくできなかった、失敗した、難しいと思った場面(ディスコミュニケーション)をできるだけ具体的に想起して記述する。そのとき、思ったことや考えたこと、「からだ」の感覚や相手との距離、視線の向け方、姿勢、場面等々も記す。
(2)(1)の場面について、グループで共有する。
(3)発表: “コミュニケーションがうまくできない、難しい”場面には、いかなる経験が含まれているのかを整理する。

<経験の記述>

<参考までに>
「フォーカス・グループ・インタビュー(FGI)」という調査方法があります。この調査手法は、「グループ討論」(グループダイナミクス)を通して、焦点を当てている内容について調査をします。「具体的な状況に即したある特定のトピックについて、選ばれた複数の個人によって行われる形式ばらない議論」と定義されてもいます。
本日の授業で行った、皆さんのコミュニケーション/ディスコミュニケーションの経験についての議論も、皆さん自身が互いに求めていることを確認しあう(調べあう)機会になっていたと思います。
FGIの目的、目標等については、下記のようにも記されています。
・ある特定の話題に対して、率直で、日常的な会話を作り出すこと。
・特定の話題について、参加者の理解、感情、受け止め方、考えを引き出すこと。
・合意形成をすることにあるのではなく、むしろそのテーマについて人々の意見の広がりを理解すること。
・それぞれの人々の視点を発見し、また人々に異なった視点を表現することを促す。

〔文献〕
S.ヴォーン、JS.シューム、J.シナグブ(著)/井下理(監訳)『グループ・インタビューの技法』慶應義塾大学出版会、1999年