26■「力関係を無視した人類学」から具体的に問いを「歴史化する」人類学へ
・「グラムシのひそみにならえば、「常識」として流布した概念をある歴史的状況におけるヘゲモニーの形態として理解することなのである。これがもう一つの 人類学を再想像する準備なのである。……それを「歴史化」と呼ぶ」(太田 2010:279-280)
・「まず異文化理解として位置づけることを拒否しなければならない。このように抽象化されたキャッチフレーズは無効である。誰が何をどのように理解する学 問として人類学は歴史的に登場したのだろうか。こう具体的に問い始めた瞬間に、力関係を無視した人類学の位置づけが、大きな問題を含んでいるように見える はずである。誰もが理解する力を行使できるポジションにいるわけではない。その力を行使するポジションの根拠が、いま争われている」(太田 2010:280)。
・「「必然」によってからめとられた観念を解きほぐす「歴史化」という作業が必要なのである」(太田 2010:280)。