30■想像を可能にするものは人間の「言語」活動である
「言語は、国民なるものを想像するための主たる技術としhて、さまざまな仕方でひとつの国民を紬出(ちゅうしゅつ)する。話し言葉、書き言葉、印刷出版、 宮廷言語、教育などといった国家機構、あるいは植民地支配下における統一言語などがそれにあたる。手短にいえば、言語はある一群のひとびとが、自身の属す る共同体をそれ以前にはなかったような時間的・空間的枠組みで規定することを可能にする。国民という観念(nationhood)は、どのような所与のア イデンティティも本質もないようなところの、想像の領域の存在、ひとつの文化的構成物なのである」――トンチャイ・ウィニッチャクン『地図がつくったタ イ:国民国家誕生の歴史』石井米雄訳、明石書店、p.43、2003年。