36■排斥の理由=クレオールの生物学的「増殖」とペニンスラールからの「汚染」の概念
「それでは、こうした排斥は、本国において、なぜ合理的とみえたのか。それは疑いもなく、16世紀以来、ヨーロッパ人およびヨーロッパ権力が地球全体へと
拡大するにともなって。生物学的、生態学的汚染の概念が成長し、これが、伝統あるマキアヴェリ主義と合流したためだった。君主の視角から見れば、アメリカ
のクレオールは、かれらが止むことなく増え続け、また世代毎に現地定着化の傾向を深めることによって、歴史に例のない政治的難問を突きつけていた。史上初
めて、本国は、ヨーロッパのはるかかなたで、当時としては膨大な数の「ヨーロッパ人間同胞」(スペイン領アメリカで、その人口は、1800年までに300
万を超えていた)に対処せねばならなかった」(アンダーソン 1997:103)。
・クレオールはペニンスラール(半島人)と同等の資格をもつライバルだったが、つねに従属的立場にあった。
・このような新大陸のクレオールは、どの地域においてもそれほど大きな偏りもなく共通のアメリカ人意識をもっていた(nosotros los
Americanos, nuestro America)(アンダーソン 1997:109)。