38■ヘルダーの認識はヨーロッパ外の状況に無知だった証左
「いくつかの歴然とヨーロッパ外的な事実をこともなげに無視して、偉大なるかのヨハン・ゴットフリート・フォン・ヘルダー(1744-1803)は18世 紀末にこう宣言している。「あらゆる民(フォルク)は国民(フォルク)であり、それ自身の国民的性格とそれ自身の言語をもつ。」このすばらしく狭小なヨー ロッパ的国民概念、私有財産的言語と結合した国民の概念は、19世紀ヨーロッパにおいて広範な影響をもち、さらにより狭く、ナショナリズムの性格に関する 後年の理論化に影響を及ぼした。では、この夢の淵源は一体何だったのか。おそらくそれは、14世紀にはすでに始まっていたヨーロッパ世界の深刻な時間的・ 空間的縮小にあり、それは当初、人文主義者の〔古典〕発掘によって、そして後には逆説的に、ヨーロッパの全地球的拡大によって引き起こされたものである」 (アンダーソン 1997:121)。
→ヨーロッパにとって自己規定の原因になったから、ナショナリズム概念の乖離がはじまったと言えることも可能。