43■分類する格子(グリッド)
「人口調査、地図、博物館は、こうして、相互に連関することにより、後期植民地国家がその領域について考える、その考え方を照らし出す。この考え方の縦糸 をなしているのは、すべてをトータルに捉え分類する格子(グリッド)であり、これは果てしない融通さをもって、国家が現に支配しているか、支配することを 考えているものすべて、つまり、住民、地域、宗教、言語、産物、遺跡、等々に適用できる。そしてこの格子の効果はいつでも、いかなるものについても、これ はこれであって、あれではない、これはここに属するものであって、あそこに属するものではない、と言えることにある。それは境界が截然と区切られ、限定さ れ、したがって、原則として数えることができる。(人口調査の分類、下位分類には、あのこっけいな「その他」と命名された箱があり、これが現実生活のあら ゆる不規則性をすばらしき官僚的立体画でおおいかくす。)またこの考え方の「横糸」はシリーズ化(セリアライゼーション)ともいうべきもの、つまり、世界 は複製可能な複数/からなるという前提である。特定のものはつねにあるシリーズを暫定的に表現しているにすぎず、またそうしたものとして扱われる。植民地 国家がいかなる中国人よりもまえに「中国人」のシリーズを想像し、いかなる国民主義者も登場するまえに国民主義者のシリーズを想像したのはこのためであっ た」(アンダーソン 1997:299-300)。