52■死者の想起の必要性について
「国民の伝記は、ブローデルの容赦なく積み上がっていく墓地(=アナール派の統計や長期変動のことを隠喩的に表現している:引用者)から、そのときどきの
死亡率に抗して、模範的な自殺、感動的な殉国死、暗殺、処刑、戦争、ホロコーストを奪い取ってくる。しかし、物語りの目的をはたすためには、これらの暴力
的な死は「われわれのもの」として記憶/忘却されなければならない」(アンダーソン 1997:335)。
"From Braudel' s remorselessly accumulating cemeteries, however, the
nation's biography snatches, against the going mortality rate,
exemplary suicides, poignant martyrdoms, assassinations, executions,
wars, and holocausts. But, to serve the narrative purpose, these
violent deaths must be remembered/forgotten as 'our own.'" (Anderson
1991:206)