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よい指導教員の選び方

How to Choose a Good Faculty Advisor

解説:池田光穂

この解説——赤字——は、もっとも適切に説明してくださっている東郷雄二[2000:42-45]によります(ただし、文章は改変しております)。一段下 げてある黒字は池田光穂のコメントです。

1)自分の研究テーマと交錯したり、近いと思われる先生を選ぶ

池田コメント: 餅屋は餅屋の論理です。しょせん、同学の師匠でないと、向こうさん(=指導教官)も情熱を失いますがな。また、皆さんの仕入れた新しい情報などを提供して あげると、結構喰いついてきて、面白い話も聞けるかも。この面白さが学生本人ならびに指導教官の両方の研究への情熱を高めるのでございます。

2)コンスタントに研究成果を学術論文の形で発表している先生を選ぶ

池田コメント: 尚古趣味の学生以外は、「もういっちゃった先生」は避けるようにします。過去の研究成果という遺産や権威にしがみついていたり、好人物でも過去の学説しか フォローできない先生は、飲み友達として、人生の師として仰いで、ハードになるかもしれませんが、そこそこ研究成果をコンスタントに出している先生にしま しょう。過去ん年間に論文を書いていない大先生は敬して遠ざけます。

3)ていねいな指導をしてくれ(そうな)先生を選ぶ

池田コメント: これは、何とも言えません。丁寧な指導が好きな人もおれば、ハードパンチャーと互角に勝負したい学生もいるからです。丁寧ということばを、学問的に対して 真摯というふうに読み替えれば、そのとおりです。

4)先生のテーマを押しつけない先生につく

池田コメント: ここは、虚実皮膜にあります。近松門左衛門も言っている「芸」が、私のいう学問(art)に相当するからです。押しつけられても、かまわないマゾ的な快楽 で勉強のドライブがかかる人と、押しつけられないことで、言外の教育に快楽を感じる人がおり、この2つのタイプの指導を同時におこなえる教師など、どこに もいないからです。また、教師の側から言わしてもらうと、指導的に(よい意味で)押しつけに伴うリスクについて思いをはさない教師など、ダシ殻みたいな存 在です。 テーマは押しつけても、誉め上手の教師は、それなりに利用する価値はあります。

5)先生の研究室を訪問しましょう

池田コメント: この助言こそが、もっとも素晴らしいものです。 ただし、会いに行く時は、きちんとアポイントメントをとって、礼儀を忘れないようにしましょう。初対面の場合は、手土産が必要になるかというと、それは、 お菓子ではなく、よく練られたリサーチプロポーザルやしっかりした文献リストのある先行研究の批判的レビュー論文がよいでしょう。 先生の第一印象は大事です。先生も君に対して、ちょっとした皮肉や、揺さぶりの質問をして、君の本当の実力をモニターしようとするかもしれません。バトル になる必要がありませんが、君の情熱を、その先生によくわかるような丁寧な説明に注ぐべきです。

ただし、屋上屋を架すようですが、彼の指摘に、私は、(番外)よい指導教官に巡りあえるのは運次第であり、また最悪の教官が結果的に最上の教官になった り、最良の教官もとんでもない悪者に化けることもある、という項目も追加しておきたいとおもいます。

【文献】 東郷雄二『東郷式文科系必修研究生活術』東京:夏目書房、2000年


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