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商業活動における異質性

Fremdartigkeit

池田光穂

「すべての価値が貨幣で測られている物価 表では,物の社会的性格の人間か らの独立性は同時に,この異質性(Fremdartigkeit)という基礎に立つ 商業の 活動のように同時に見えている.

この異質性において全生産関係,全交易関 係が個人に.すべての個人に対立して現れるが,それはふたたびこの異質性 を個人の手にゆだねるためである.

世界市場の自立化〈各個人の活動が そこ に包括されている〉について言わせてもらえば,それは貨幣関係(交換価値) の発展とともに増大し,またその反対のことも言える.生産と消費とにおける 一般的関連と全面的依存性とは,消費者と生産者との独立性および無関心性 とともに増大する.この矛盾が恐慌にみちびく,等々であるのだから,こう した疎外の発展と同時に,それら独自の地盤のうえでこれを止揚しようとい う試みがおこなわれることになる.つまり,物価表,為替相場,手紙や電信 による商業従事者相互の連絡,等(通信手段は当然同時に発展する〉がそれ であり,こうして各個人は,他のすべての人々の活動について情報を入手し, それに従って彼ら自身の活動を調整しようとする.

〈すなわち,すべての人 人の需要と供給とがすべての人々から独立しておこっているにもかかわらず, どの人もが一般的な需要と供給の状況に通暁しようとする.次いでこの知識 がふたたび需要と供給とに実際に影響する.これらすべてのことは,所与の 立場においては,異質性を止揚するものではないが,古い立場を止揚する可 能性をそのうちにふくむ諸関係と諸結合とをもたらすものである.)(一般的 な統計の可能性その他.)(なおこのことは,「価格,需要と供給」という範疇 のもとで展開するはずである.さらにここで注意すべきことは,商業と生産 との全体についての概観が,実際には物価表の形で存在するかぎりでは,い かに各個人にとって彼ら自身の交換と生産とが物的な,彼らから独立した関 係として各個人に対立するかという,最良の証明をあたえるということであ る.世界市場では,各個人のすべての人々との関連,だがまた同時に各個人自身からのこの関連の独立性は,この関連の形成が同時にそれ自身からの移 行の諸条件をもすでにふくむほどの高度に発展している.〉現実の共通性と 一般性とにかわる均等化.」(第一分冊 82)

リンク

  • 経済学批判要綱(Grundrisse)』▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
  • 文献

  • 『マ ルクス資本論草稿集 1 1857-58年の経済学草稿 第1分冊』、資本論草稿翻訳委員会訳、大月書店、1981年 ISBN 4-272-10011-4
  • 『マ ルクス資本論草稿集 2 1857-58年の経済学草稿 第2分冊』、資本論草稿翻訳委員会訳、大月書店、1993年 ISBN 4-272-10012-2
  • マ ルクス『経済学批判要綱(草案)』全5巻、高木幸二郎監訳、大月書店、1958-65年
  • その他の情報


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