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言語論的転回

Linguistic turn

池田光穂

■言語論的転回（linguistic turn）

■概要：

言語論的転回とは、20世紀初頭における西洋哲学の大きな発展であり、その最も重要な特徴 は、言語、言語使用者、世界の間の関係に哲学の主眼を置いたことである[1]。 言語論的転回」には実に様々な知的運動が関連しているが、この言葉自体はリチャード・ローティが1967年に発表したアンソロジー『言語論的転回』によっ て広まったと一般的には考えられている。後に言語哲学や分析哲学全般から距離を置くようになったローティによれば、「言語論的転回」という言葉は哲学者の グスタフ・バーグマンに端を発している[2][3]。

■分析哲学：

伝統的に、言語論的転回とは分析哲学の誕生をも意味すると考えられている[4]。 言語論的転回の結果の1つは、論理学と言語哲学への注目の高まりであり、理想言語哲学と通常の言語哲学との間の分断であった。

■フレーゲ：

マイケル・ダンメットによれば、言語論的転回はゴットローブ・フレーゲの1884年の著作 『算術の基礎』、特にフレーゲが数値命題の同一性を探求している第62項まで遡ることができる[5][6]。 数についてのカント的な問い、"我々が数についての考えや直観を持たないことを前提として、数はどのようにして我々に与えられるのか？"に答えるために、 フレーゲは彼の「文脈原理」を用いている。フレーゲは本書の冒頭で述べた、命題の文脈においてのみ言葉が意味を持つという「文脈の原理」を発動し、「数詞 が出現する命題の意味」を定義することに解を見出す。こうして、伝統的に観念論的な線に沿って解決されてきた存在論的・認識論的な問題が、代わりに言語学 的な線に沿って解決されるのである[4]。

■ラッセルとウィトゲンシュタイン：

命題の論理と「事実」との関係に対するこの関心は、後に著名な分析哲学者であるバートラン ド・ラッセルによって『デノティングについて』で取り上げられ、論理的原子論における彼の初期の仕事において重要な役割を果たした[7]。 ラッセルの同僚であるルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは、言語論的転回の始祖の一人である。ウィトゲンシュタインはラッセルの同僚であり、言語論的転 回の創始者の一人である。ウィトゲンシュタインの『論理哲学綱要』（Tractatus Logico-Philosophicus） における、哲学的問題は言語の論理に対する誤解から生じているという考えや、後年の著作における言語ゲームに関する発言から、ウィトゲンシュタインは言語 論的転回を提唱している。

■クワインとクリプキ：

W.V.O.クワインは「経験主義の二つの教義」の中で、言語論的転回がそれ以前の哲学と歴 史的に連続していることを述べている： 「意味とは、本質が参照対象から切り離され、言葉と結びついたときになるものである」[8]。 20世紀後半になると、『命名と必然性』におけるソール・クリプケのような哲学者たちが、言語を綿密に分析することから形而上学的な結論を導き出した [9]。

リンク

文献

• The ontological turn : studies in the philosophy of Gustav Bergmann, [edited by] M.S. Gram [and] E. D. Klemke, University of Iowa Press (1974).
• New foundations of ontology / Gustav Bergmann ; edited by William Heald ; foreword by Edwin B. Allaire, University of Wisconsin Press (1992).

その他の情報

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