かならずよんで ね!

ユルゲン・ハーバーマス『公共性の構造転換 : 市民社会の一カテゴリーについての探究』ノート

On Jürgen Habermas' "The Structural Transformation of the Public Sphere," 1962-1989

池田光穂

《「文化を消費する大学」から「文化を議論する大学 へ」》→「public sphere としてのオンライン教育の将来を考えていくべき」という提言は慧眼だね。だけど、そうなると、もう授業料やデイプロマを卒業式に差し上げます!ではで囲い 込めなくなりますね。大学はこれまでpublic sphere(=ハバーマスの翻訳語から公共圏というが、僕はアングロサクソン的伝統で「社会」と読み替えてみたい) たることを拒否して、ここまで肥大化したわけですから。つまりオンラインでもオフラインでも「文化を論議する大学から文化を消費する大学へ」への流れに棹 差さないとなりません。さてさて、我々は、これまでの「文化を消費する大学」から「文化を議論する大学へ」に果たして変われるでしょうか?

"The Structural Transformation of the Public Sphere: An Inquiry into a Category of Bourgeois Society (German: Strukturwandel der Öffentlichkeit. Untersuchungen zu einer Kategorie der bürgerlichen Gesellschaft) is a 1962 book by the philosopher Jürgen Habermas. It was translated into English in 1989 by Thomas Burger and Frederick Lawrence. An important contribution to modern understanding of democracy, it is notable for "transforming media studies into a hard-headed discipline.""- The Structural Transformation of the Public Sphere.

"The notion of the "public sphere" began evolving during the Renaissance in Western Europe. Brought on partially by merchants' need for accurate information about distant markets as well as by the growth of democracy and individual liberty and popular sovereignty, the public sphere was a place between private individuals and government authorities in which people could meet and have critical debates about public matters. Such discussions served as a counterweight to political authority and happened physically in face-to-face meetings in coffee houses and cafes and public squares as well as in the media in letters, books, drama, and art. Habermas saw a vibrant public sphere as a positive force keeping authorities within bounds lest their rulings be ridiculed. According to David Randall, "In Habermasian theory, the bourgeois public sphere was preceded by a literary public sphere whose favored genres revealed the interiority of the self and emphasized an audience-oriented subjectivity.""- The Structural Transformation of the Public Sphere.

邦訳は、2度翻訳されていて、最後のものがユルゲ ン・ハーバーマス『公共性の構造転換 : 市民社会の一カテゴリーについての探究』 細谷貞雄, 山田正行訳、第2版、未来社、1994年。ただし内容は原著1962年のものであり、原著 (Neuwied, 1962) の全訳である初版 (未來社, 1973)に、原書新版(Suhrkamp, 1990)の序言を訳出・増補したもの、となっている。

章立ては以下のとおりである(「BOOKデータベース」)。

第1章 序論—市民的公共性の一類型の序論的区画

(出発点の問い;代表的具現の公共性の類型について;市民的公共性の成立史によせて)

第2章 公共性の社会的構造

(基本構図;公共性の制度〈施設〉;市民的家族 公衆に関わる私生活の制度化;文芸的公共性と政治的公共性との関係)

第3章 公共性の政治的機能

(モデルケースとしてのイギリスにおける発展;大陸における諸変型;私的自律の圏としての市民社会 私法と自由化された市場;市民的法治国家における公共性の矛盾をはらんだ制度化)

第4章 市民的公共性—イデーとイデオロギー

(公論 論点の前史;政治と道徳の媒介原理としての公開性—カント;公共性の弁証法によせて—ヘーゲルとマルクス;自由主義理論にあらわれた公共性の両価的把握—ジョン・ステュアート・ミルとアレクシス・ド・トックヴィル)

第5章 公共性の社会的構造変化(→ JHarbermas_trasnformation_1962.pdf with password)[The Social-Structural Transformation of the Public Sphere

(公共圏と私的領域との交錯傾向;社会圏と親密圏の両極分解;文化を論議する公衆から文化を消費する公衆へ;基本図式の消滅 市民的公共性の崩壊の発展経路)

第6章 公共性の政治的機能変化

(民間文筆家たちのジャーナリズムからマス・メディアの公共サーヴィスへ—公共性の機能としての広告;公開性の原理の機能変化;造成された公共性と非公共的意見—住民の選挙行動;自由主義的法治国家から福祉国家への変形過程における政治的公共性)

第7章 公論の概念のために

(国家法的擬制としての公論 この概念の社会心理学的解析;問題解明の社会学的な試み)

このハーバーマスの議論に、宗教の議論が弱く、のちに、彼は「『政治的なもの』——政治神学のあいまいな遺産の合理的意味」という講演を『公共圏に挑戦する宗教:ポスト世俗化時代における共棲のために』に収載している。

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