アレン・ダレスと神経科学:ジョナサン・モレノ『操作される脳』11
「1953年、伝説的なCIA 長官、アレン・ダレスが、外国のスパイや兵士をより科学的に扱うと決めた時、心理学界には、それに係わるだけの下地ができていた。朝鮮での国連軍捕虜の虐 待について報告を受けるとダレスはコーネル大学医学部の神経学教授二人に、共産主義者の洗脳テクニックを研究するよう依頼した。結果はウォルフ・ヒンク ル・レポートとして提出され、長年機密扱いにされていた。アジア人の尋問には何か奇妙な東洋の秘密があるに違いない、と予想していた人は多かったのだが、 その期待は裏切られた。ソビエト連邦や中国で用いられるテクニックが成功するのは、人間の弱さを利用して心理的圧力を執拗に与えるからだ、というのがウォ ルフとヒンクルの結論だった。/まず第一段階として独房に監禁し、自尊心を傷つけて看守の扱いに服従させる。看守は、解放の望みも外部と連絡をとる手だて もないことを捕虜にたたき込む。長期間立ちっぱなしにしたり睡眠中に繰り返し起こしたり、といった肉体的拷問も行う。普通なら数週間も経つうちに捕虜そこ で尋問の開始となる。ドストエフスキーの『大審問官』から引用してきたようなシーンだが、捕虜がそれまで人生で犯した「罪」をすべて並べ立て、事細かに調 べ上げるのだ。それに加えて、罪もない北朝鮮の人民に野蛮な攻撃をしただろうと決めつけて責め立てる。やっと苦しい試練が終わったかと思ったら、また初め から繰り返し。結局、全部「白状」してサインしない限りこの苦難は終わらないのがわかる。ソビエトの国家安全保障機関であるKGB もこの手法を用い、100% の成功をおさめたと言われている」(モレノ 2008:134-135)。
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