fMRIと人種主義:ジョナサン・モレノ『操作される脳』18
「MRI 業界は精力的に利益をあげ、PET やSPECT など他のブレイン・イメージング装置とも相まって脳の機能的な構造の解明を驚異的に進めてきた。その成果を利用して、意図、発話、学習などの過程の研究が 始まっている。そして、ついに、fMRIを用いれば、脳の機能と思考や行動との結びつきの体系化が可能だという概念を核として研究産業が展開された[→発 達してきた?引用者]。研究結果の多くは、人間の性質のうちであまりかんばしくはないものと脳内過程との関連を示していて、そういった性質を白日のもとに 曝け出したようにも見える。
たとえば、エリザベス・フェルプス率いるニューヨーク大学の神経科学者、グループは、白人が黒人の顔を見て自動的にネガティブに評価する ことが、扁桃体の活動と関連していることを示した。刺激を受けると扇桃体が活動して情動を引き起こすのだ。それから、スタンフォード大学の研究者は、顔を 認識する領域の活動性が、自分と同じ人種の顔を見ているときのほうが高いことを発見した。自分と異なる人種に属する典型的な顔を見ると異なるニューロン群 が活性化するという結論が出されたが、シリーズで行われた実験結果はこれを支持している。これらの結果を全部考え合わせてわかってくるのは、次のようなこ とだろう。「自分たち」と「あの人たち」という概念はかつては適応的だったが、今では対立の種になりかねない、いわば進化の遺物なのだが、いまだに私たち に組み込まれているのだ。こう考えると、根深い部族主義的な傾向に立ち向かうために断固とした社会政策が必要なのはなぜかわかってくる[→ポストモダンの ルソー?:引用者]。この他、人間の道徳的決定のしかた、他人に対する共感の程度、自尊心のレベルなどを前頭葉の活動を計測して評価した研究などがある。 中には、民主党員と共和党員がキャンペーンビデオにどのように反応するか調べたものまである」(モレノ 2008:194-195)。
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