プロプラノロールの利用に関する大統領委員会の見解:ジョナサン・モレノ『操作される脳』27
プロプラノロールは、PTSDに効果があると称される薬である。
「恐ろしい事件の記憶を鈍麻させることによって、世界はあまりにも居心地のよいものになり、我々は苦しみ、悪行、残酷な行為に対し無関心に なってしまうのではないだろうか。自らが選択したのではない、不可解な、悲劇的な厳しい真実の経験は、特に人間の悪の現実性を真撃に受け止めるべきである ならば、決してぬくぬくと世界に安住しているわけにはいかないことを思い起こさせてはくれないだろうか。さらに、恥ずべき、怒るべき、憎むべき事件の経験 や意識を鈍麻させることによって、賞賛すべき、感動すべき、愛でるべきものに対する反応をも鈍らせてしまう危険性が生まれるのではないだろうか。人生の最 大の喜びに鈍感になることなく、人生のきわめて辛い悲しみにだけ鈍感になれるものだろうか。……幸福な記憶だけをもつことは福音でもあるし、そしてまた災 いでもある。煩わしいことは何もなくなる。しかし、おそらくそれは、我われが人間の幸福の高みにも、隣人たちの複雑に絡み合った生活にもほとんど関心をも たなくなるために、決して絶望の深みに陥ることもない、薄っぺらな社会の一員になってしまうからだろう。結局、幸福な記憶しかもたないということと、真に 人間的に幸福になることとは同じではないのである。それは単に悲惨なことがまったくないということであるにすぎない。これは、人生の多くの困難を考えれば よくわかる類ではあるが、真の人間的幸福を求める者の願いとして十分とは言えない類の願いである(安達雄大訳、倉持武監訳:▲要翻訳箇所出典化)」(モレ ノ 2008:258-259)。
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