伝統音楽から民俗音楽、そして民衆音楽へ
From Traditional Music to Folk
Music to
Folk Music: Cultural Representations of Guatemalan National Culture
滝
奈々子・池田光穂
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滝 奈々子;
伝統音楽から民俗音楽、そして民衆音楽へ
:グアテマラ国民文化の文化表象について
■ 昨年度第21回平安大会では、発表者は「先住民社会におけるポピュラー音楽の感性についての考察 —グアテマラの事例をあげて—」において、楽器や楽曲表現を通して、先住民社会における音楽や音的環境の受容についてさまざまな文脈における音楽表現の諸 相を紹介した。そこには教会典礼の伴奏音楽から教会外部における伝統音楽の演奏の「あいだ」の、そして伝統音楽と現代民衆音楽の「あいだ」の、連続性と断 続性が考察の対象になった。
■ 発表者は長くグアテマラ共和国のアルタベラパス県において民族音楽調査に従事してきたが、近年は先住民の音楽受容の変化やひろくラテンアメリカ音楽とりわ け環カリブの音楽環境の影響関係について興味をもつようなった。また国立マリンバ学校での音楽学の教鞭を通して、同国の伝統音楽が国民文化として洗練発展 してきたことを実感してきた。伝統音楽は宗教や祭礼の変化により一部では衰退の危機にあり、他方では民族アイデンティティの表象としてロックやフォークソ ングとの融合により新しい展開をとげている。すなわち音楽表現を通して国家が提供するナショナリズムとは異なる様式をとおして「グアテマラ民衆」の音楽の 中に伝統音楽の精神が息づいているのである。
■ 2024年の調査では、グアテマラの首都にて、Tujaal Rockという、グアテマラの伝統音楽とロックを融合させるフュージョン音楽を演奏するグループにインタビューを行うことができた。Tujaal Rockは3人の兄弟で構成され、それぞれが音楽に対して異なる概念を持つものの、まず、196年から1996年という36年間にわたる内戦で、100万 人以上が避難民(うち20万人以上の死亡が報告されている)を生んだ窮状に対するプロテストの意志を強調する。内戦では多くのマヤ系先住民が殺害され、 1996年に和平合意決議案が成立した後、多くのマヤの人びとがマヤとしてのアイデンティティを主張し、Tujaal Rockのように、自身の言語で戦争の負の記憶から回復しようという活動が多くみられた。
■ 和平合意決議案が出されてから、「マヤ」としての自己認識を自らの言語で表現するグループが多くみられたが、最近では、ベネズエラ以北からやってくる移民 の影響もあり、ロックのみではなく、レゲトンやクンビアといった音楽のなかで暴力や暴動、麻薬、人生、また家族や愛について楽曲を作られることが多くなっ た。
■ 本発表では、Tujala Rockにみられるような、現代グアテマラにおけるロック音楽やフォークソング、レゲトン、クンビアといった民衆音楽の受容のなかに伝統音楽が組み込まれ ている様子を文化表象の点から考察する。
1 ・グアテマラの音楽 ・グアテマラのマリンバ作曲家 ・マヤ伝統音楽 ・マヤ・ポピュラー音楽とラテン・西洋音楽 |
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3 ・先住民社会におけるポピュラー音楽の感性についての考察. |
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4 ・伝統音楽(traditional music)(→「伝統・伝統的」) ・民俗音楽(フォーク・ミュージック:folk music) ・民衆音楽(ポピュラー・ミュージック:popular music) |
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Yothu Yindi - Treaty (Original Version) |
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14 ソブレビベンシア:Grupo musical "Sobrevivencia-B'itzma," o Musica Maya. |
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AMATITLAN by Sobrevivencia (imagenes del lago de ATITLAN) Sobrevivencia - ♫PEDAZO DE AMOR♫ - Rock Guatemalteco - Rock maya |
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17 ・Tujaal Rock ・Saqarb'al - Resurgimiento. ・Qakik’el / Nuestra Sangre (2012) |
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19 ・Qakik’el / Nuestra Sangre (2012) |
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21 ・ドン・フランシスコ・シ・カウとの出会い. |
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リ ンク
文 献
そ の他の情報
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