Muchas Gracias! 感謝のコーナー Thanks a lot!
2005年のご寄贈
東大阪大学の三島亜紀子先生からのご恵与
三島亜紀子『児童虐待と動物虐待』青弓社、2005年
私は、三島先生のご著書を理解する十分な理解力をもっていませんが、2つのコメントをしたいと思います。まず、虐待概念を洋の東西、社会の違いなどで相対化する視座をどのようにお考えなのでしょうか? ある人々がある考え方を取り入れたり、別の考え方を放棄するには、比較的長いタイムスパンと、独自の事前・事後の解釈があるように思われます。そのような観点が欠落しているので、議論がさまざまなところに飛んでいるような感じを受けます。たぶん、著者の頭の中では整理されているとは思うのですが、どうもそれが読者には伝わりにくいような感じがします。次に、スタイルに関する私の違和感がありました。虐待やバイオレンスについて考えることは、私もまたとっても好きなテーマのひとつですが(もちろん、時と場合を選びますが)、暴力の話は個別のケースをひつこく身体に刻印されたひとつひとつの傷について舐めるように研究するのが、私は好きなのです(→政治的暴力と人類学を考える)。なぜなら、それはとんでもない絶望というものを呼び起こすからです。「ひとは弱さを意欲する」(ニーチェ)からかもしれません。たぶん三島さんは、虐待を通して(社会とか専門家とかということの機能や効果といった)何かを考えたいのでしょうか。でも私は、その暴力性の中に沈潜したい。その違いは埋まるわけではないし、また埋めるという考え方も傲慢なのかもしれません。暴力の解決の問題がいつも先送りにされるのは、人間が無力だからではなく、先送りにすることで「弱さ」を享受しようとしていることからだからも知れません。(そんなことを言うと暴力解決の専門家から激怒か失笑を買うかもしれませんが)建設的なコメントにはなりませんが、そんなことを考えました。ご恵与、どうもありがとうございました。
静岡大学の楊海英先生からのご恵与
楊海英『モンゴル草原の文人たち』平凡社、2005年
※私は落掌してすぐ「草原の医学書」(第三章)を読みました。医学書という知識と実践の書を古今東西の文人が入手し、その注解に心血を注ぐ話は別に珍しくないのですが、その内容は具体性が富み、著者の登場人物への温かみが感じられ、感動しました。
熊本学園大学の天田先生からのご恵与
天田城介『〈老い衰えゆくこと〉の社会学』多賀出版、2003年:天田城介『老い衰えゆく自己の/と自由』ハーベスト社、2004年
日本大学の吉田正紀先生からのご恵与
ブレーガーとヒル編『異文化結婚』吉田正紀監訳、新泉社、2005年
国立民族学博物館副館長・田村克己先生からのご恵与
山下晋司編『文化人類学入門』弘文堂、2005年
大阪大学副学長・鷲田清一先生からのご恵与
平成14・15年度科学技術振興調整費調査研究報告書『臨床コミュニケーションのモデル開発と実践』研究代表者・鷲田清一、大阪大学、2004年
奈良女子大学の栗岡幹英先生からのご恵与
輸入血液製剤によるHIV感染問題調査研究委員会編『輸入血液製剤によるHIV感染問題調査研究』第1次・第2次報告書、2003年、2005年
京都大学の菅原和孝先生からのご恵与
Sugawara, Kazuyoshi ed., 2005 Construction and Distribution of Body Resources: Correlations between Ecological, Symbolic and Medical Systems. Research Institute for Language and Cultures of Asia Africa, Tokyo University of Foreign Language.
旭川医科大学の松岡悦子先生からのご恵与
平成14・15・16年度科学研究費補助金・基盤研究C(1)『リプロダクションと育児を成り立たせる社会・文化的文脈をめぐる研究』研究代表者:松岡悦子、2005年:坂井昭宏・松岡悦子編『バイオエシックスの展望』東信堂、2004年