フォークウェイズ
Folkways
解説:池田光穂
フォークウェイズ folkways
●定義
「集団の共有する観衆・習俗を示すためのサムナーの用語。欲求を満足させるための努力として多数の人間により営まれる小規模な行為の 反復から生まれ、歴史・自然環境などに制約されつつ浸透・固定した行動様式をさす。」[執筆者不明『社会学事典』弘文堂,1988,pp.755]
→“あらゆる利害関心を満足させる“正しい”方法”(サムナー) 「サムナーは慣習のうち右側通行のように日常生活の便宜上形成された行動の様式を慣行(usage)と呼び、伝統的に適当である考えられてはいるが、強 い強制力の加わらない社会生活上の行動様式をフォークウェイズと呼んだ。」[小野沢正喜『文化人類学事典』p.184]
●非合理性と適応性
「フォークウェイズの中には便宜性だけで説明しきれない、因襲化した非合理的な、あるいは権力によって強制されたようなものもある反 面、そうした硬直性にもかかわらず、新しい条件に適合すべく変化している面もある。」[執筆者不明『社会学事典』弘文堂,1988,pp.755-6]
●遍在性
「またフォークウェイズはあらゆる時代・社会の慣習のなかにみられる。現代社会においても、高度な技術の発達とともにそれに適応して ゆくための個人や集団の特殊な慣習が発達しており、そこにフォークウェイズ特有の因襲的性格が見出せる。[執筆者不明『社会学事典』弘文堂,1988, pp.755-6]
●モーレス mores(羅)
「あるフォークウェイズが社会の安寧に不可欠でそこからの逸脱は災厄を招くという信念ないしは意義を帯びたとき、(それは)モーレス となる。」
モレース=「集団生活上における成員の態度・行動を規定する社会規範」[以上,執筆者不明『社会学事典』弘文堂,1988, pp.876]
●エスノセントリズムの概念を導くための概念として
“各集団はそれぞれ固有の自尊心や自負心をもち、自己を優れたものとして誇り、その神性を称揚し、よそものを軽蔑の眼で眺める。それ ぞれの集団が自集団のフォークウェイズのみが正しいものと考え、もし他集団が違ったフォークウェイズをもつ場合は蔑みの感情を起こさせる。(“豚食らい” とか“牛食らい”とかいった)口汚い形容語句はこうしたフォークウェイズの違いから生まれたものである”(サムナー)[フォークウェイズ=習俗:出典 『文化人類学事典』p.336]
★クレジット:フォークウェイズ:Folkways, ひとびとの生き方
【文献】 Sumner, W.G., 1907, Folkways: A Study of the Social Importance of Usages, manners, Customs, Mores and Morals, New York: Ginn and Company,[サムナー『フォークウェイズ』現代社会学体系3(青柳清孝ほか訳)青木書店,1975]
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099