民間療法事典
みんかんりょうほうじてん、ポピュラーメディスン、popular medicine:民間医療/民俗医学/民族医学
解説:池田光穂
もし民間療法についての医療人類学の学問的解説が、いかがわしいインチキではなく、正しく学問する対象として認められるようになった社会的 要因について恩恵を被っているとすれば、その感謝はまず、パウル・ファイヤアーベント(1924-1994)に捧げられるべきであろう。なぜなら、彼は 『自由人のための知』(1980)において正統派の医学(西洋近代科学であり現在では生物医学=バイオメディシンがその位置を占めている)は、国家権力と 結びつき、特権的価値が与えられていることを[イバン・イリッチ(1926-2002)とは異なったかたちで]告発したからである。正統医学はひとつの知 的伝統をもつのであれば、非正統医学もまた同等に取り扱わねばならないからである。国家権力への布置によるこの知的バイアスを修正する思考装置のことを彼 は後に「民主的相対主義」(邦訳 1992:61-71)と呼ぶるようになる(出典:医療人類学仮想辞典「民主的相対主義」「患者と国家」「統治術」)。
●代替医療(批判)大全(シンとエルンスト『代替医療のテクニック』より)
診断 |
バイオレゾナンス、虹彩診断法(イリドロジー)、キネシオロジー、キルリアン写真術、ラジオニクス(電子心霊感応法)、ベガ診断 |
食事療法 |
食
事を通して健康になろうという実践法。食事の量、組み合わせ、付加する食品や非食品異物(=薬物・毒を含む)、さらには成分調整(例:アレルギー成分の除
去)などの方法がある。漢字を使う東アジアでは「医食同源」という用語や概念があるので、食事療法には多くの人が寛容である。だが、これは言い方を変える
と「偏食」(佐伯矩の用語)の一種であることも留意する必要がある。 |
運動療法(Exercise Therapy) |
「身体の全体または一部を動かすことで症状の軽減や機能の回復を目指す療法」 |
装置など |
●代替医療一覧(Wikipediaなどより)
アーユルベーダー(Ayurveda) |
アーユルヴェーダとも表記。インドの伝統医療。トリ・ドーシャ(三体液, 三病素)、トリ・グナ(三要素、三特性、三徳)、サプタ・ダートゥ(七構成要素)、アシュターンガ(八科目)を理論体系の要素として、多様な流派がある。 |
アレクサンダー法 |
アレクサンダー・テクニークとも表記。「身体がどのように動き、どのように感じるかについての気づき(アウェアネス)を高めること」で心身を壮健にする技法。 |
アロマセラピー |
アロマテラピーとも表記。芳香を通して、病気や外傷の治療、病気の予防、心身の健康やリラクゼーション、ストレスの解消などを目的とする療法。 |
イヤーキャンドル(耳蝋燭療法) |
ろうそくなどの燃焼から発する音(=炎の音)を聴いて心身を癒す技法。 |
オステオパシー |
医師アンドリュー・テイラー・スティル (Andrew Taylor Still)によって創始された療術。整骨療法と訳されたように、カイロプラクテックやシボンジロセラピーのように、背骨の骨のあり方を中心に健康を捉える療術。 |
キレーションセラピー |
キレーション治療ともいう。1940年ごろからアメリカではじまる。鉛中毒などにキレート剤を使うことから、体外からやってくる毒物をキレートで除去しようとする発想でうまれた療法。 |
クラニオサクラルセラピー(頭蓋オステオパシー) |
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クリスタルセラピー |
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結腸洗浄 |
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催眠療法 |
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サプリメント |
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酸素療法 |
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指圧 |
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神経療法 |
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人智学医療 |
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吸い玉治療(カッピング) |
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スピリチュアル・ヒーリング(霊的療法) |
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セルラー・セラピー |
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デトックス |
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伝統中国医療 |
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ナチュロパシー(自然療法) |
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バッチ・フラワー・レメディ |
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ヒル療法 |
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風水 |
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フェルデンクライス法 |
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分子矯正医学 |
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マグネットセラピー(磁気療法) |
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マッサージ療法 |
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瞑想(メディテーション) |
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リフレクソロジー(反射療法) |
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リラクセーション |
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レイキ(靈氣) |
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マインドフルネス |
Google の社員たちは、ジョン・カバット・ジン(Jon Kabat-Zinn)
らのマインドフルネス(mindfulness)という禅仏教系
の瞑想技法により、職場のストレス回避を教えられるという(→「グーグル仏教[Google
Buddhism]の可能性について」「ヴィパッサナー瞑想(Vipassanā)」「インサ イトメディテーション」) |
経絡秘孔(keiraku-hikou, )経络秘孔(Jīng luò mì kǒng) |
少林寺拳法開祖宗道臣(Doshin So, 1911-)が著作で人間の急所経穴を表現した言葉に由来。少林寺拳法では「圧法」という高段者のみが使える秘術と言われる。これはフィクションであるが、武論尊(原作)・原哲夫(作画)『北斗の拳』の中で表現されているが、中国医学理論がグノーシス的に複雑化するとどのように説明されるのかを知るためには格好の資料となっている。 |
●雑多なリンク集︎▶︎インドネシアの民族医
学(1943)▶蒸し風呂︎︎▶ルグバラの疾病観変遷︎▶熱/冷二元論︎︎▶︎憑依と社会▶︎︎医療的多
元論ノート▶︎民間医療有効性︎︎▶︎医師と民間治療者
の比較▶︎フォークウェイズ▶健康食
品の分類︎▶︎︎民間伝統医療者数▶︎民間療法の効用にかんす
るメモ▶︎︎非正統医療▶︎心霊治療師による病気
のマネージメント▶︎︎呪術師とその呪
術▶︎医学史・医療史︎︎▶︎超自然的施術説
話の記号学▶虚
偽の倫理問題︎︎▶鏡としての動物
裁判︎▶︎︎白い巨塔』を人類学▶︎ヘルシズム▶おへその象徴論︎︎▶︎身体を通してみた技術と人間▶︎︎ヘルスプロモー
ション▶︎心霊治療において倫理は▶︎︎健康広告データベース▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎
■民間療法の基礎知識