非西洋医学の有効性をめぐる議論
民間療法の有効性、民間医療はほんとうに効くか?
解説:池田光穂
非西洋医学の有効性をめぐる議論 → 類似のページ「治療効果の認知概念」
●非西洋医療の有効性をめぐる議論(フォスターとアンダーソンによる)
【フォスターとアンダーソンの議論】
(この章の目的)非西洋システムの西洋医学的な効果判定が可能か否か?、もし可能であるならば、それは効果的か非効果的か?、この 種の論争は、歴史的につねに“懐疑派”と“支持派”に分かれる。
・測定の困難さ:153
有効性については2つの文脈が考慮されなければならない。(1)非西洋の文脈において、(2)西洋(医学)の文脈において、であ る。ただし、両者の視点は全く異なっており、それを傍証(なにを?)するデータすらない。
・西洋よりみた非西洋の肯定的側面p.155
心理的サポート(→心理療法である(Adair 1969))や臨床・治療・薬草に固有の知識をもち、社会的文脈において整合性=「意味がある」(p.159)という観点だ。
(コメント:これは“非西洋医学”が歴史的に好意的な近代医学者たちによって評価されてきた経緯に符合し、非西洋医学がつねに“西 洋医学から説明されてきた”状況の反映である。オリエンタリズムとしての非西洋医学)
・西洋よりみた非西洋の否定的側面p.159
支持派(例:アッカークネヒト)に対する懐疑派の批判
(1)効果が西洋より見て期待できない
(2)文化相対主義的な評価への疑問
・ダンの仮説(pp.162-3)
薬草の効果は長年の経験的蓄積に基づくもの
[筆者たち=フォスターとアンダーソンの結論]パラダイムの違いはそう簡単に直結できない
・非西洋医療の問題点p.164
西洋の視点からみて、非合理的なことも多い。
「原始的な薬は成分が入手できるかぎりは、治療者の記憶の限界までその複雑さを増してゆく」(p.167)
・参照としてのアメリカ医学/アメリカ医療の欠点p.167
−社会的不公正な医療資源配分
−医師/患者関係の問題、ふれあいの不足
−薬物や医療技術の濫用
−新技術によって新たに生じる問題
・結論的要約p.171
伝統的医療はうまくいってきた。しかし、それは近代医療にくれべれば劣っている。それは住民の利用(の選好性?)をみても分か る。
[出典」:第7章「非西洋的医療システム」pp.152-171『医療人類学』
【グラントの議論】
(ノート部分なし:要作成)
[文献]グラント「心理治療」(板橋作美訳)『医療の人類学』波平監訳、pp.469-479、1989[1983]
【非−西洋医学の認識論上の問題】
外部表象としての「非−西洋医学」、だからそれはそもそも西洋人の想像の中にあったもので、現実に照応するかどうかは、別に検討 しなければならない。(cf.Worsley,1982,Non-Western Medical System,Annual Review of Anthropology 11:257-285)
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