「伝統」医療従事者数
Numbers of tradictional practioner in Japan
解説:池田光穂
医療従事者総数に対する「伝統医療」従事 者の比率 1990年 | 2014 |
医 師193千 10万比157 看護婦745千 602 歯科医師68千 55 薬剤師 84千 68 あん摩マッサージ指圧 91千 74(1) はり師きゅう師 119千 97(2) 柔整師 22千 18(3) (1)+(2)+(3) 234千 189 ※このデータの出所は、厚生省「医師・歯科医師・薬剤師調査」ならびに「厚生行政業務報告」によるもの。あん摩マッサージ指 圧・ はり師きゅう師・柔整師に関しては、後者の「厚生行政業務報告」によるものだろう。(原典にあたれば、その実態報告の類が手にはいるかも。) ※データーが古いのでユーザーのみなさんがご自身で改訂版 をつくること! 類似のページ「我が国における「伝統」医療従事者数」 |
・医師
311,205人
・歯科医師 103,972人 ・薬剤師 288,151人 資料:厚生労働省政策統括官付保健統計室「平成26年医師・歯科医師・薬剤師調査」 ・保健師 59,156人 ・助産師 37,572人 ・看護師 1,142,319人 ・准看護師 364,061人 資料:厚生労働省医政局調べ。(H26) ・理学療法士(PT) 77,139.8人 ・作業療法士(OT) 42,136.1人 ・視能訓練士 7,732.9人 ・言語聴覚士 14,252.0人 ・義肢装具士 104.4人 ・診療放射線技師 50,960.4人 ・臨床検査技師 64,080.0人 ・臨床工学技士 23,741.4人 資料:厚生労働省政策統括官付保健統計室「平成26年医療施設調査・病院報告」 ※常勤換算の数値 ・就業歯科衛生士 116,299人 ・就業歯科技工士 34,495人 ・就業あん摩マッサージ指圧師 113,215人 ・就業はり師 108,537人 ・就業きゅう師 106,642人 ・就業柔道整復師 63,873人 資料:厚生労働省政策統括官付行政報告統計室「平成26年衛生行政報告例」 ・救急救命士 51,369人 資料:厚生労働省医政局調べ。(H27.12.31現在) |
・医療従事者総数に対する「伝統医療」従事者の比率 1990年
医 師193千 10万比157
看護婦745千 602
歯科医師68千 55
薬剤師 84千 68
あん摩マッサージ指圧 91千 74(1)
はり師きゅう師 119千 97(2)
柔整師 22千 18(3)
(1)+(2)+(3) 234千 189
※このデータの出所は、厚生省「医師・歯科医師・薬剤師調査」ならびに「厚生行政業務報告」によるもの。あん摩マッサージ指圧・はり師 きゅう師・柔整師に関しては、後者の「厚生行政業務報告」によるものだろう。(原典にあたれば、その実態報告の類が手にはいるかも。)
・実数で医師に比肩する。ただし、対患者処理能力(数)は医師よりも低いか?。
・[鍼灸医療が保険のきく病院内での鍼灸の診療時間は、一般に患者一人に45分を割り当てているとのこと]。
・伝統医療従事者がどれだけの患者を年間取り扱っているかという統計はある?:各地の鍼灸・柔整師会への問い合わせ納税調査などで推定す る?
・経済的側面:鍼灸・漢方的な非正統的な民間療法を含めた産業:インフォーマルな部分の市場規模推定は、CDI試算で16兆円;GNP比の 5. 7%。健康食品・健康器具に関しては76年〜83年で市場規模で5倍の成長。(→現在の資料はどこで入手できる?/健康産業に関する資料あったら教え て!)
・社会文化的側面:
[事例としての漢方ブーム→「漢方」『文化現象』pp.220-1]50年代後半(?)以降の薬害・医療批判を背景に社会的ニーズが高ま る。後発的 (?)に漢方ブームをあおる製薬産業の市場開拓および市場の成長(データ?)。72(?)年ごろまでは、武見会長(当時)は、漢方薬に批判・排他的であっ たが、副作用がないことを理由に認可の方向へ進む(漢方主要メーカーの“実弾”攻勢が効を奏したとの噂あり)。75年に健康保険適用薬として薬価規準にエ キス剤が収載。医療における正統性の獲得と市場の倍倍ゲーム。
・鍼灸高等教育と医師会:明治鍼灸大学の開学に対する医師会からの反対意見「別冊宝島:大学の醜聞」
・視角障害者の雇用機会促進として鍼灸師養成という機能。およびその権益を守る勢力と、健常者による鍼灸師資格取得ブーム(脱サラとも関 連)。昭和50年(要確認)以降新設の鍼灸学校なし:鍼灸師養成の量的統制は、どのように変遷してきたか?。
1992年現在の我が国の医療従事者総数に対する「伝統医療」従事者の数に注目してみよう。
【業種】 【実数】 【人口10万に対する比率】
92年 医 師 211,498 169.9
看護婦 795,810 639.5
歯科医師 75,628 60.8
薬剤師 95,642 76.9
あん摩マッサージ指圧師 94,150 75.7(1)
はり師きゅう師 125,971 101.2(2)
柔道整復師 24,776 19.9(3)
(1)+(2)+(3) 244,897 196.8
(出典)厚生省「医師・歯科医師・薬剤師調査」ならびに「衛生行政業務報告」による。数値は『国民衛生の動向1994年』厚生統計協会、 p.185
これによると、「伝統医療」に従事する人びとの総数は近代医療の医師の実数を凌駕していることがわかる。また近代医療の医師は、彼らの監 督のもと に患者に対して漢方エキス製剤を処方することがあるので、治療者・施術者の数でみるかぎり我が国において「伝統医療」は「近代医療」に比肩するだけの規模 を有していることがわかる。むろん、その経営の規模、衛生行政に与える影響力などは近代医療が圧倒的に優っていることは言うまでもない。
現在の医療制度は、医師がすべてのスタッフを指導監督し、すべての医療のプロセスに責任を負うている。法律上はすべての医療行為をおこな うことが 可能であり、医業を独占しているために、いわゆる漢方医療は、近代医療の病院および診療所で行われているのが現状である。先に述べたようにわが国には「漢 方」だけを専業におこなえる法的資格はないので、近代医療を修めた医師が漢方を処方を別個に学ぶことによってその業務を可能にしている。
一般的に通常の病院にくらべて漢方医療にもとづく診療は次のような特徴をもつ。(1)一般に急性疾患の患者よりも慢性疾患の患者が多い。 (2)通 院期間が長い。(3)相対的に診察時間が長い。例えば、鍼灸が保険診療として利用できる病院内での診療時間は、患者一人に45分を割り当てているところが ある。これは「3時間待たされたうえで3分間診療」などと批判されてきた近代医療の大学病院とは好対照をなしている。(4)治療が長期にわたるために保険 診療を受けていても治療費が相対的に高くかかる。
他方、鍼灸治療は圧倒的に個人経営の治療所でおこなわれる。また、経営者が医師である診療所においても、鍼灸師が治療に直接従事すること がほとん どである。これは、医師が鍼灸治療を法的には実行できるにもかかわらず、その治療には高度な経験が必要とされているからである。鍼灸の患者の多くは、腰 痛、首や肩のこりを訴えるものが多い。一般に「漢方診療所」よりも、問診に費やす時間は短く治療がすぐに開始される。また鍼灸だけでなくカイロプラク ティックな診断技法などを組み合わせているものが多い。マッサージおよび柔道整復師の治療もこの形態に準じるところが多い。
伝統医療に関する経済的側面はどうだろう。残念ながら、これに関する政府の統計資料は少ない。おそらく、国家の医療政策が近代医療に関す る諸統計 に偏っており、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の、免許権の付与に関しても1992年になって厚生大臣がおこなうことになったと いう国家統計管理の未整備によるものであろうと考えられる。
薬事工業生産に対する「漢方製剤」の割合(1992年)は、生産金額にして1709億円で、これは全生産の3.1%を占める。また、鍼灸・ 漢方など の伝統医療から非正統的な民間療法を含めた産業全体の市場規模推定は、あるシンクタンクの試算では16兆円(1980年代中ごろの推定)で、これは当時の GNP比の5.7%に相当する。これは、その当時に国民が一年間に医療機関などにおいて傷病の治療に要した費用を推計した「国民医療費」(16兆159億 円:1985年)ほぼ同額に相当している。(シィー・ディー・アイ、日本における「からだ産業」の将来、シィー・ディー・アイ株式会社、一九八六年) 日本における健康食品の市場規模は1 977年の試算では小売り額でおよそ2000億円(これには市販医薬品とされるドリンク剤などは含まれない)(水口、1981:138)。また健康器具を もふくめた市場規模は76年から83年までに、およそ5倍の成長をしたという試算もある(CDI)。
Copyright Mitzub'ixi Quq Ch'ij, 2000-2017