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文化表象学講読定期試験 000704実施

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1. 医療が他の社会領域に対して優位(dominate)になっている事例を2つあげて、その実態を簡潔に文 章で表現しなさい(20点)。

 事例1[  専門職支配 ]

 実態:

 医療の専門職である医師や 看護者は、その資格付与と業務権限によって、かれらの職域と業務を独占し、それ以外の一般の人々が資格なしにかかわることができない社会的領域を形成して いる。

 事例2[ 医療化     ]

 実態:

 日常生活における身体の管 理やそれについての考えが、近代医療的知識による助言(場合によっては強制)を通して、近代医療そのものが不可欠になものとされてゆく。近代医療なしでは 我々の日常生活や身体のあり方を想像しにくくなるような現代社会生活。

2. Medicine as Culture(1994)の著作について勉強したZさんは、著者であるDeborah Luptonの主張を、以下のような命題にまとめました。それらの個々の命題が正しい場合は(○) を、まちがっている場合は(×)をつけて、正しい場合はその根拠を、まちがっている場合はその理由をあげて簡潔に文章で説明しなさい。(60点)

(a)生物医学の医師は人間の福利と厚生のために長年努力を費やしてきたので、彼/彼女たちは結果的に人類に 幸せをもたらすことに成功した。

 あなたの判断:(×

あなたの説明:

 医療化や専門職支配は、生 物医学の医師の善意によって形成されたものではなく、文化やその時代の社会の影響をうけながら構造的にできあがってきたものである。行為者の善意が、その 影響を受ける人に必ずしも幸せをもたらすとはかぎらないから。

(b)ミッシェル・フーコーは、それまでの権力概念の主流であった権力の抑圧的側面以外に、べつの形の権力の 形態が存在することを示唆した。

 あなたの判断:( )

 あなたの説明:

 フーコーはむきだしの力の 行使を想定する抑圧的権力の他に、個々人の行為実践の細部から生じる権力の生産的側面に注意を促したので、これは正しい。

(c)セルフヘルプグループの人たちは医師や看護者の仕事の圏外で働く人たちであるので、医学や看護の知識は セルフヘルプグループの活動にとって、特に重要であるとはいえない。

 あなたの判断:(×

 あなたの説明:

 セルフヘルプグループと は、慢性性病や不治の病あるいは障害などをもった人々が社会で自立=自律してゆくための、病者/障害者を主体として、場合によってはそれ以外の家族やボラ ンティアなどで構成される自助組織である。病気や障害からの克服を目標にするゆえに、このグループにとってそれぞれの病気や障害にかんする医学的知識は (受容するにせよ、批判するにせよ)不可欠なものとなる

3. 次の一連の用語は対語としてセットになってい る。左の欄の数字に対応するアルファベットを記入しなさい。(20点)

Self/(1)

masculine/(2)

sick/(3)

rational/(4)

active/(5)

productive/(6)

nurture/(7)

nature/(8)

disorderly/(9)

moral/(10)

(a) passive

(b) culture

(c) feminine

(d) controlled

(e) well

(f) nature

(g) wasteful

(h) immoral

(i) Other

(j) power

(k) irrational

(l) mechanism

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
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