民族誌の批判的読解
文化表象学演習 2001年12月15日の授業
文化表象学演習(資料と課題) 2001.12.15
担当:池田光穂、チューター:野村亜由美
於:くすのき会館 10:00〜
テーマ(1):Kula: トロブリアンド諸島民の実践
課題1:クラ交換について説明しなさい。バギ=ソウラヴァとムワリとは何かを説明し、それらがトロブリアンド諸島の間をどのように循環するのか。またクラ交換は、単に事物の交換にある以上の意味があるように思えるが、それはなぜか、説明しなさい(200字以上)。
【映像出典】
タイトル:『クラ・島々をめぐる神秘の輪』( Kula - Ring of Power)
制作者:スカイ・ビジュアルズ(オーストラリア)
制作年:1992
上映時間:50分
日本語編集:NHK
日本語版監修:清水昭俊
1 x 52 Minutes / 1992 Pro: Gary Steer Dir: Michael Balson A Sky Visuals
Production.[→講義ノート]
テーマ(2):エスニックツーリズム(民族観光)
課題2:今福龍太はカニバル・ツアーズを論評する際に、イアトムルの人たちを訪れるエスニック観光客たちが、写真とみやげ物を通して「未開社会」の表象を自己(=白人・西洋人)のものにしてゆくという主張をしている(今福
龍太『クレオール主義』青土社、1991、1994年)。しかし、エスニック観光のみならず、旅行の思い出(=記憶)をとどめておき、観光の対象を写真とみやげものという表象として旅行者のものにするという現象は、観光全般に一般的につきものであり、エスニック観光だけが、このような議論にとって特権化される必要がわざわざあるのだろうか?
そこで君たちに対する設問だが、上の指摘をふまえたうえで、このフィルムの中で描かれたイアトムル人たちと観光客のやりとり、イアトムルの人たちの発言や行動、観光客の発言や行動などを思い起こしながらエスニック観光(ひろく民族文化を対象とする観光)について、自分が人類学者として、その旅行に参加すると仮定して、どんなことを観察し、どのように感じ、またどんなことを論じたいか、論じなさい(200字以上)
【映像出典】
監督: Dennis O'Rourke, オーストラリア 1988年
プロダクション: Filmmakers PTY.
テーマ(3):先住民アイデンティティ
課題3:映画の主人公セバスチャン・ママニの出身の先住民族アイマラの人たちは、どのような生業形態を維持していただろうか(『文化人類学事典』等で確認しておくこと)。なぜ、あるいはどのような経緯で、セバスチャンはアイマラのアイデンティティを放棄してメスティソ(混血系ラテンアメリカ人)になったのか。放棄した先住民族性を取り戻すことに、どのような代償が伴ったのか。最後のシーンにみられる彼の姿は何を意味するのか?(200字以上)
【映像出典】
地下の民
(La Nacion Clandestina)
ホルヘ・サンヒネス監督、1989年、カラー35ミリ、125分
1989年 サン・セバスチャン映画祭金貝殻賞、外国紙グラウベル・ホーシャ賞
制作/ベアトリス・パラシオス
撮影/セサル・ペレス
録音/フアン・グアラニ
脚本/ホルヘ・サンヒネス
出演/レオナルド・ユフラ、オルランド・ウアンカ、デルフィーナ・ママニ、ロケ・サルガド
制作協力/チャンネル4(イギリス)、スペインTV放送、AZF(西ドイツ)、シネマテーク・インディアス(日本)
監督/ホルヘ・サンヒネス
関連リンク
■地下の民
Copyright Mitzubishi Chimbao Tzai, 2001