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文化の窮状を読む

[シラバス]Reading of Jim Clliford's, The Predicament of Culture; 「文化」概念の検討という連続講義

講師:池田光穂  

近代民族誌エスノグラフィー)は、登場した時から研究者の間では「事実(=フィールド)の素朴な反映」という概念はすでに 乗り越えられており、観察者(民族誌家=民族誌学者 ethnographer)が構築する「理論的枠組によって支えられた体系的記述」という意味合いで用いられてきた。しかしながら、書かれたもの(=刻ま れたもの inscribed)という、西洋の伝統的な表象についての概念の影響を受け継いで、一般には、人々(=民族)について時間を超えた固定的で、本質的(= 人々の文化を実体化する)ものであると理解されてきたことも事実である。また民族誌家も、しばしばそれらの批判に対して無防備であり、ゆゆしき場合は「事 実の素朴な反映」として民族誌の社会的意義を説くものすら登場する始末である。そのために、民族誌に書かれた事実関係とその解釈をめぐる議論の場において は、民族誌を「事実の素朴な反映」として議論の中心に据える見解と、「理論的枠組によって支えられた体系的記述」という見解がしばしば混同されることがあ り、その状況は現在でも続いている。(→出典:池田光穂「民族誌は果たして本質主 義の根源的表象 なのか?」)(→「民族誌的近代・民族誌的モダニティ」)

Introduction: The Pure Products Go Crazy

第1部 言説
    I. Discourses
Jap_Predicament_cul_Part1.pdf

1.民族誌的権威について 35
1. On Ethnographic Authority


2.民族誌における権力と対話 75
2. Power and Dialogue in Ethnography: Marcel Griaule’s Initiation
Jap_Predicament_cul_Part2.pdf

3.民族誌的自己成型 121
 3. On Ethnographic Self-Fashioning: Conrad and Malinowski


第2部 転置
II. Displacements


4.民族誌的シュルレアリスムについ て 151
 4. On Ethnographic Surrealism
Jap_Predicament_cul_Part3.pdf

5.転置の詩学 195
5. A Poetics of Displacement: Victor Segalen


6.君の旅について話してくれ 213
6. Tell about Your Trip: Michel Leiris


7.新造語のポリティクス 227
 7. A Politics of Neologism: Aimé Césaire


8.植物園 237
8. The Jardin des Plantes: Postcards


第3部 収集
 III. Collections


9.部族的なものと近代的なものの歴 史 245
9. Histories of the Tribal and the Modern


10.芸術と文化の収集について 273
10. On Collecting Art and Culture
Jap_Predicament_cul_Part4.pdf

第4部 歴史
IV. Histories


11.『オリエンタリズム』について 321
11. On Orientalism
ジェイムズ・クリフォードによる『オリエンタリズム』の書評について
12.マシュピーにおけるアイデン ティティ 349
12. Identity in Mashpee
Jap_Predicament_cul_Part5.pdfJap_Predicament_cul_Part6.pdf

[関連リンク]
  1. 授業進行表「民族誌の批判的読解2003
  2. ポストモダン人類学用語集
  3. 民族誌的近代・民族誌的モダニティ
  4. 民族誌的知識
  5. 人類学的ヒューマニズムと民族誌的シュルレアリスム
  6. Jap_Predicament_cul_Part1.pdfJap_Predicament_cul_Part2.pdf︎▶︎︎Jap_Predicament_cul_Part3.pdfap_Predicament_cul_Part4.pdf︎▶︎︎Jap_Predicament_cul_Part5.pdf▶︎Jap_Predicament_cul_Part6.pdf▶︎︎

[授業形態]演習

[授業目標]

[授業の内容]

人類学者の仕事は、フィールドワークと、それにもとづく民族誌の生産にあ るといわれてきました。人類学はこのことを通して、いかにして他者の理解に到達しうるのか、そして、他者の理解を通して自己ならびに自己の属する集団の理 解に到達する課題に挑戦してきました。

また民族誌は他者表象に関わる政治的な過程の表象でもあります。民族誌を批判的に読解するということは、人類学の理論が要請する実践行為 と、実践が生み出す理論が織りなす弁証法的な連関について、さらに批判的に考察することでもあります。

この演習では、民族誌に関する著作や論文を数多くとり上げ、細部にもこわだわりながら、多角的に検討します。民族誌に関する専門的な解説、 代表的な民族誌について紹介した後、ジェームズ・クリフォードの文献を批判的に論評し、それに基づいた議論をおこないます。

[キーワード]

文化人類学民 族誌、批判的読解、解釈、文化、社会、民族誌的現代、文化の窮状、文化の苦境

[テキスト]

[スケジュール]

[参考文献]

民族誌の極北(6年後の授業)

[関連リンク]

  1. 授業進行表「民族誌の批判的読解2003
  2. ポストモダン人類学用語集

[評価方法]

毎回の課題レポート、定期レポート、試験による総合評価でおこないます。

[履修上の指導]

大学における授業とは出席するものなので点呼による出席確認はとりません。

  Introduction: The Pure Products Go Crazy
    I. Discourses
        1. On Ethnographic Authority
        2. Power and Dialogue in Ethnography: Marcel Griaule’s Initiation
        3. On Ethnographic Self-Fashioning: Conrad and Malinowski
    II. Displacements
        4. On Ethnographic Surrealism
        5. A Poetics of Displacement: Victor Segalen
        6. Tell about Your Trip: Michel Leiris
        7. A Politics of Neologism: Aimé Césaire
        8. The Jardin des Plantes: Postcards
    III. Collections
        9. Histories of the Tribal and the Modern
        10. On Collecting Art and Culture
    IV. Histories
        11. On Orientalism
        12. Identity in Mashpee
    References
    Sources
    Index

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