トランスナショナリティ研究の「フィールド」
On "field concept" in the Transnationality Studies
■トランスナショナリティ研究の「フィールド」
J・クリフォードに倣って、フィールドはこれまで言われてきたように、文化人類学が 研究対象とする「方法論的な理想」であると同時に、経験的な事実としての空間(space)としての「職業活動の具体的な“場”」であると捉えることは重 要である(クリフォード 2002:32-33)。
「人類学者のフィールドは、転地した居住と生産的な研究の場、つまり参与観察という実践の場として定義される。そしてフィールドは一九二〇年以 来、一種の小さな移住だと考えられてきた。フィールドワーカーは「受け入れられ」、その文化と言語を「習得」する。フィールドは、ホームから離れた、ある ひとつのホームであり、労働(研究)と成長、すなわち個人的ならびに「文化的」能力の発展をともなう居住の経験なのである」(クリフォード 2002:32-33、訳文は改変、要原文チェック)。
このように見ると、トランスナショナリティ研究対象であるフィールドは、もちろん、グローバル化したトランスナショナルな文化現象に他ならな いのであるが、同時に、この分野に参入する文化人類学者が活躍する職業的な場であると考えることが、この分野がトランスナショナリティを単に研究対象とし て外在化するだけではなく、研究実践の上でこの分野がもつ特異な特徴として強調することができるだろう。言うまでもなく、文化人類学は海外植民地のみなら ず国内においても、人類学者が居住するネーション(=この用語は北米先住民の居留地の取り決めは北米の外交文書として取り扱われたり、ポストコロニアルの 時代に黒人は Black Nation という用語を標榜したことを想起させる)を超えたトランスナショナルな状況でおこなわれた、フィールドという「方法論的な理想」である同時に、人類学者自 身がホームと一時的な居住地を労働=研究の場とするトランスナショナルな存在に他ならないことを思い起こさせる。
★ Multi-Site Ethnography means using dynamic approrch or Traveling Ethnographic Approarch (MINZOKU-SHI, Ethnography in Japanese)
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