はじめに かならずよんでください

ポストモダン人類学用語集

Glossary of Postmodern Anthropological Theory

かいせつ 池田光穂



タンブールの「ヒューマン・サイクル」に対するピーター・バーガーの批判 291+


シュナイダー(David M. Schneider, 1918-1995)『アメリカの親族(American Kinship)』272+


イデオロギーと社会形態の類似性 270+ (→「グリッド とグループについて」)


ダグラスとウィルダブスキー 267+


『人類学と文化記号論』260


『ヌガラ』265


ヴェブレン 258


ウェザーフェルド『丘の上の部族』——米国議会の「民族誌」AC, 258


閉じられたシステムと開かれた精神(1964), AC 256-

intercultural juxtaposition, AC, 251-

defamilialization AC, 251


エキゾチズムの衰退 AC, 246-


アメリカの1920-30年代の文化人類学(ボアズの弟子たちの)と、大 陸の向こうのシュールレアリスとたち AC, 240-241


WPAプロジェクト(Works Progress Administration, 1935-1943)公共事業促進局,
ダニエル・ベル

リチャード・セネット


クリストファー・ラッシュ


チャールズ・テイラー


リチャード・バーンスタイン


リチャード・ローティ


アーロン・ウィルダブスキー


メアリー・ダグラス


マーヴィン・ハリス


ソースタイン・ヴェブレン, AC258,


ツヴェタン・トドロフ AC, 198


マーシャル・サーリンズ AC, 194


レーナート・ロザルド AC, 186


ヨハネス・ファビアン AC, 184




アンソニー・ウォーレス (Anthony Wallace, 1923-2015)[→文化とパーソナリティ]


1940年代のロード・リビングストン 研究所AC,174-175


ジューン・ナッシュ(「ママ・ナッ シュ」)
マイケル・タウシグ


「象徴資本」


エリック・ウルフ


マーシャル・サーリンズ

『人類学と文化記号論(Culture and practical reason)』AC, 260-
クリフォード・ギアツ


ピエール・ブルデュ




『ハマータウンの野郎ども(労働を学 ぶ)』AC, 158, 243-
世界システム(AC, 157)


イマヌエル・ウォーラスティン(AC, 156)


感情の構造

レイモンド・ウィリアムズの提唱になる 用語。日常生活の細部に至るまでに貫徹する、社会のより上位のイデオロギーとの一体化を表現する用語。我々が愛国心と呼んでいるような具体的な実践とその 心の布置の構図を描くことは、愛国者の「感情の構造」を分析することに繋がるだろう(→「愛国主義」)。文献:Matthews, Sean. 1998. The Structure of Feeling of Raymond Williams[pdf], Studies in Languages and Cultures, 9:117-133, Kyushu University Institutional Repository
モダンな作品
opus modernum
西暦12世紀初頭にシュジェ修道院長 が、サン・ドニ修道院の聖堂の建築様式に与えた言葉。巨匠の作品は、opus magnum という。
大きな物語、メタ物語
grand recit
近代を支配する正当化の機能。リオター ル(Jean-Francois Lyotard, 1924-1998)『ポストモダンの条件』(1979)[邦訳:小林康夫訳、水声社、1991=書肆風の薔薇、1986]によると、近代を支える大きな 物語として、<精神>の弁証法、意味の解釈学、理性的人間あるいは労働者としての主体の解放、富の発展などがある。


領有・流用
appropriation

エスノグラフィー的なヒューマニズム
ethnographic humanism
J・クリフォードによると「人類学的 ヒューマニズムは、差異に始まり、——名付けと分類、描 写および解釈を通して ——差異を理解可能なものとする。つまり、見慣れたものにする」。これは異文化の解釈を通して理解を可能にする時に人類学者が最終的に動員する実践的立場 である。その反対語は、民族誌的シュルレアリズムである。
民族誌的リベラリズム
ethnographic liberalism
1950年代以前に植民地状況で働いて いた民族誌学者は、自分たちの位置づけに対してきわめ てアンビバレントな気持ちを持ち続けていた。それは、一方では、白人の支配ないしは優位性において民族誌学的調査が成り立つということであり、少なくとも このことについての再帰的な自覚はあった。他方で、植民地状況下において、研究対象となる現地人との交流の中で、彼らを擁護・代弁しようとするさまざまな (リベラルな)態度をとったり、感情的理解をおこなっていた。このような両面価値(アンビバレントな)的な自覚と態度を、ジェームズ・クリフォードは、民 族誌的リベラリズムと呼んでいる(クリフォード『文化の窮状』p.104)。
民族誌的シュルレアリズム
ethnographic surrealism J・クリフォードによると「民族誌的 シュルレアリスムは、それとは対照的に、他者性の侵入す なわち意外性を呼び起こすことにより、見慣れたものを攻撃する」ことである。これは、人類学者がフィールドにおいて異文化体験を行ったり民族誌論文を作成 する最中に経験する異化——見慣れているものが異様になったり、自明なものが疑問に付されるような認識——の現象に相当する認識論的体験である。この反対 語は、人類学的ヒューマニズムである。
未来になりつつある現在
present-becoming-future
J・クリフォードの用語(→『文化の窮 状』)
本質主義
essentialism

ホームレスネス
homelessness

文化的輸出入
cultural export and import

部族
tribe

表象
representation

ネグリチュード
ne'gritude

現地人=ネイティヴ
native

全体性
wholeness

資料考証=ドキュメンテーション
documentation

自己成型
self-fashioning
S・グリーンブラッドの用語(→『ルネ サンスの自己成型』)
参与観察
participant observation

救出=サルベージ
salvage
→「サルベージ人類学(救出民族学)
コスモポリタニズム
cosmopolitanism

クレオール
creole

エントロポロジー
entropology
レヴィ=ストロースが『悲しき熱帯』の 末尾で人類学の皮肉として提唱した言葉。文化の多様性 は未来に向かって均質化し、秩序は解体してゆくなかで、文化人類学は本物の文化の中に消えゆく差異を(アイロニカルに)記録するしかないという。この営為 がエントロポロジーである。もちろん文化秩序のエントロピックに崩壊するという彼の語りは、彼の諦念であり、皮肉であるので、人類学の代替としてこの学問 が主張されているわけではない。
異国趣味=エキゾティシズム
exoticism

アレゴリー
allegory

アイデンティティ
identity

用語のデビュー
debut of "post-modern"
英語における最も早いポストモダンの初 出は、建築用語として1949年である。しかし、社会 思想の用語としてはトインビー『宗教への歴史家のアプローチ』(1956)やライト・ミルズ『社会学的想像力』(1959)である。特に後者は、現在が過 去のものになるという時代と概念区分の到来を意味する用語としてポストモダンを用いている("Just as Antiquity was followed by several centuries of Oriental ascendancy... so now the Modern Age is being succeeded by a post-modern period. Perhaps we may call it: The Fourth Epoch.")。この後は、左翼文芸批評誌などの文芸ジャンルとしてこの用語が徐々に用いられるようになる[OEDの"post-modern"参 照]。

Elsa von Freytag-Loringhoven
エルザ・ヒルデガルト・バロネス・フォ ン・フライターク=ローリングホーフェン(Elsa von Freytag-Loringhoven, 1874-1927)は、ニューヨークのグリニッジ・ビレッジで数年間芸術活動をしたドイツの前衛、 ダダイストの芸術家、詩人である。

Claude McRay (i.e. McKay) and Baroness von Freytag-Loringhoven, before 1928


God (1917), by Baroness Elsa von Freytag-Loringhoven and Morton Livingston Schamberg, gelatin silver print, Museum of Fine Arts, Houston



Fountain (1917)
Perhaps the most notable of plumbing sculptures in Modern Art history is Fountain (1917), by Marcel Duchamp. The ready-made has recently been connected to the Baroness speculatively.[23][24] This is, however, only supported by a "great deal of circumstantial evidence."[25] The speculation is largely based on a letter written by Marcel Duchamp to his sister Suzanne (dated April 11, 1917) where he refers to the famous ready-made: "One of my female friends under a masculine pseudonym, Richard Mutt, sent in a porcelain urinal as a sculpture."[26] Literary historian Irene Gammel suggested in 2002 that the "female friend" in question was the Baroness.[27] Duchamp never identified his female friend, but three candidates have been proposed: an early appearance of Duchamp's female alter ego Rrose Sélavy,[25][28] Elsa von Freytag-Loringhoven,[29][30] or Louise Norton (a close friend of Duchamp,[25] later married to the avant-garde French composer Edgard Varèse,[31] who contributed an essay to The Blind Man defending Fountain,[32] and whose address is discernible on the paper entry ticket in the Stieglitz photograph).[33] "It is important to note, however, that Duchamp wrote ‘sent’ not ‘made’, and his words do not indicate that he was implying that someone else was the work’s creator."[25]-Elsa von Freytag-Loringhoven.

『階段を降りる裸体No.2』 (Nu descendant un escalier n° 2) 1912
マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp, 1887-1968)

エドワード・マイブリッジの「女性のモデルが階段をくだる組写真」/  Étienne-Jules Marey: Man Walking, 1890-91


アンドレ・ブルドン(André Breton, 1896-1966)「第一次世界大戦頃、当時フランスではあまり知られていなかったフロイトの心理学に触れ、終戦後ルイ・アラゴン(Louis Aragon, 1897-1982)、フィリップ・スーポーらとともに、ダダに参加するも、1920年代に入って、トリスタン・ツァラと対立し、ダダと決別。以後、アラ ゴンやスーポー、またロベール・デスノス(Robert Desnos)らとともに新たな芸術運動を展開、眠りながらの口述などの実験を試み、1924年、「シュ ルレアリスム宣言」の起草によって、シュルレアリスムを 創始した。 以後、『シュルレアリスム革命』誌の編集長となり、シュルレアリスムに感化された多くの芸術家がパリに集まる。ブルトン自身は、拡大していくシュルレアリ スムの中心的存在、「法王」として君臨し続け、『ナジャ』などの作品や、多くの評論を著した。第二次世界大戦中にはアメリカ合衆国のニューヨークに亡命し ていたが、マルティニークを経由した際にエメ・セゼールと出会い、『熱帯』や『帰郷ノート』に衝撃を受けた。亡命後は合衆国でも活動を続け、戦後はフラン スに戻る。 シュルレアリスムから芸術家たちが離れていく中で、ブルトンは終生そのシュルレアリストとしての立場を貫いた。 ダダの活動を経ているためでもあるだろうが、著書の中では既存の芸術を批判していることが多い。ただし、ルネサンス期の画家ウッチェロを好んでもいた」-アンドレ・ブルドン.
自立した革命芸術のための宣言

Manifesto for an Independent Revolutionary Art, signed by Rivera and Breton, but real authors are Trotsky and André Breton


マ ルセル・デュシャン, 1934年(1911-20年)「 緑色のスウェードを貼った1つの箱の中に、1923年の作品《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(大ガラス)の制作に関係するスケッチ、 メモ類、写真などが整理されず、綴じられずに、ばらばらに保存された形式となっている。1911−20年に書き溜めたもので全部で94点ある。 デュシャンは《大ガラス》について、出来上がった視覚美術だけで終わらず、完了にいたるまでの「思考のプロセス」も美術だと主張した。そのため《大ガラ ス》の制作期間(パリとニューヨーク滞在中)におけるデュシャンの創造的思考のプロセスがメモから分かるようになっている。 デュシャンは、制作メモがただのバラバラな状態で終わらず、それぞれが同じ表現概念の異なるパーツのようにして関係していることを《グリーンボックス》で 表現したかったという。 それらバラバラのアイデアを一所に集めて全体に共通するコンセプトが浮かびあがるように見せることがこの作品のポイントである。読者は自由に94点のメモを選び、配列して、自分自身のストーリーを作ることができる。 グリーンボックスは通常版とメモの原本を一点ずつ添えた特装版10部をくわえて1934年9月に最初の箱が出版された。その年に、特装版10部と通常版35部が売れて、印刷費はほぼ回収できたという。 グリーンボックスのメモを誰よりも読みふけったのはアンドレ・ブルトンだった。「ミノトール」1934年12月号で、ブルトンは「花嫁の燈台」というタイトルのエッセイで、グリーンボックスのメモを参照に《大ガラス》を解読し、現代美術の最高峰に位置づけた山田太郎). https://www.artpedia.asia/the-green-box/
アプロプリエーション・領有
appropriation
「各人で/先生とともに」調べてほしい用語集より
遺産化・記念物化
patrimonialization

移動性
mobility

ヴァナキュラー・土着の
vernacular

オントロジー・存在論
ontology

声と主張
voice

コンタクトゾーン・接触領域
contact zone

サイバネティクス
cybernetics

自然主義
naturalism

集合的記憶
collective memory

情動
affectus ;ラテン語

人新世
Anthropocene

身体化・具体化
embodiment

スケープ・景観
scape

節合
articulation

デジタル
digital

テリトリアリティ・領域性
territoriality

ナラティブ・語り
narrative

ハイブリディティ・混成性
hybridity

パースペクティヴィズム・観点主義
perspectivism

ヘテログロシア・異種言語混交
heteroglossia

暴力
violence

ミメーシス・模倣
mimesis








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