隠喩と換喩
metaphor & metonymy
Otto Dix . Farewell to Hamburg, 1921
これは遠近法を踏まえた上で、心象風景や記憶(左下:色彩がモノクロームになる)や海の換喩たる[なぜなら全体を部分で表現するので]海洋生物(右下)などが描かれている
解説:池田光穂
隠喩(metaphor):表象による表現することの中には、 喩(たと) えという修辞が使わ れるために、表象よりも曖昧なものがあり、それは隠喩(いんゆ、メタファー)と呼ばれる。隠喩は、換喩(かんゆ)との対比のなかで、より狭く定義すれば、 全体を全体で表象するような修辞(=表現のシステム)である。隠喩の例は、王をライオンで表象するようなものである。なぜならばライオンは動物の中の王、 頂点に君臨するものだから、そして王もまた王国の頂点に君臨するから。
換喩(metonymy):表象による表現の一種であるが、隠 喩と異なり (上掲参照)、部分 をもって全体を表象する修辞のことである。メトニミー。この換喩の例は、王を王冠で表象するようなものである。王は身体の一部に王冠を戴く存在だからであ る。したがって、隠喩が王とライオンを全体的な関係で表象しているのに対して、換喩は部分と全体の関係を関連性ないしは延長としてみていることがわかる。
表
象(representation):表象とは「誰かあるいは何かを、代わりに話したり、表現したり、表したり、することです」。 代表、再演の意味も
ある。あるものを別なもので代表させるもの。あるものを別のもので表現するもの。こ
んな単純なことなのに、なぜみんなは、表象(表現や上演という「表現」もしばしば使われます)という言葉と概念をめぐって大騒ぎするのでしょうか? それ
は、人間にとって、表象行為というのは、ホモ・サピエンス(知恵ある存在)にとって基本的にいつもおこなっている基本的なもので、表象のことがわかれば、
人間を理解することに、大いに貢献するからです。表象の規則的側面に着目すれば表象は、おもに記号論をつかって考察するこ
とができる。表象をより広くて曖昧な[解釈]レベルで分析したければ、象徴に関する理論(哲学・文芸批評・精神分析など)がある。表象は記号と象徴の中間
的な位置づけであると考えると、表象の分析は、さまざまな理論によって分析できることがわかる。表象には、記号がもつ規則性やそれを厳密に分析できるとい
う意味から、象徴研究のような幅広い意味理解という意味も兼ね備えているので、もっともルーズで曖昧な意味の総体とも言える。表象文化とか文化表象
(cultural representation, representation of
culture)という用語が流布した背景には、文化という記号とも象徴とも受け取れる幅広い領域の社会現象を、表象を鍵概念として捉えようとする試みで
あり、また文化もまたきわめてルーズで曖昧な意味を内包している
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