ロマンチック・ラブ
romantic love
解説:池田光穂
ロバート・マートンは、北アメリカにおけるロマンチック・ラブが、人間の社会における恋愛様式の中で必ずしも一般的なものではないことを強 調して次のように言う。
「どの社会も「激しい情緒的愛着」を認めているが、現代アメリカ社会は、ロマンチックな 愛着を基本として、少なくとも一般の人々の考えでは、これをもって婚姻の相手を選択する基礎としている数少ない社会の一つである。この特徴のある選択の型 式は、両親またはもっと広汎な親族集団による配偶者の選定を最低限ならしめるか、または排除するものである」(マートン 1961:52)[邦訳『社会理 論と社会構造』みすず書房]。
北アメリカ社会では、婚姻選択のみならず婚姻の継続においても、相手とのロマンチックな愛着を維持しようとするために、愛着が無くなったと 当事者たちが自覚する時、彼らは容易にカップルを解消する傾向がある。他方、結婚生活が破綻しても、ロマンチックな愛着を求める執着は、離婚後の再婚率の 高さにも反映される。つまり、彼らは離婚しても、結婚生活全般への失望を抱かず、結婚相手との愛情が無くなったと感じ、次の婚姻相手を求めるようになる。 このことが、北アメリカにおける(他の先進国に対して)高い離婚率と再婚率の説明を可能にする。
●恋愛(Love)表現の通文化的共通性からの反論も可能である。
恋愛(Love)表現の通文化的共通
性:Fraternal love (Prehispanic sculpture from 250–900 AD, of Huastec
origin). Museum of Anthropology in Xalapa, Veracruz, Mexico/Pair of
Lovers. 1480–1485, by Master of the Housebook.
リンク
文献
課題
マートンの著書の該当箇所には、北アメリカにおけるロマンチック・ラブについて指摘した当時の関連文献がいくつか挙げられているので、
関心のある人は当該文献に当たって調べること。