はじめによんでください

井戸に毒を盛る

poisoning the well

池田光穂

☆ 井戸に毒を盛ると、日本人が聞くと、関東大震災の時に、日本の領土であり、日本にもたくさん在住していたコリアン系日本人を捕まえて、「井戸に毒をもっ た」という無根拠な風評をかけて「日本人自警団」が、リンチにかけて殺したというヘイト殺害事件を思い起こす。しかし、欧米でも「井戸に毒を盛る」という のは、一度そんなことがあると使い物にならなくなるだけなく、飲用水が使えなくなる大罪にあたる。つまり、コミュニティの共有財産に対する敵対行為で、き わめて反社会的行為とみなされる。隠喩表現としての「井戸に毒をもる」とは、回復できない中傷を相手に与えることをさす。

「市長は口達者だ。じつによく話すし、一見雄弁だ。だけど、実際の行動は真逆である。話はまるでちがう」——こう言われると、市長が雄弁に反論すればするほど、その行動が違うと予測することになり、市長は寡黙にならなくなる。寡黙になると、こんどは市長の普通の行動面が制限されてしまう。市長このような中傷で、雄弁にも寡黙にもなれないことになる。



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