はじめによんでね

戦争が大学の「飛び級制度」を生んだ

The War system made birth to the university "skipping grade" system


池田光穂

大学の飛び級制度は、能力のあるものを早 期に認定し、よりさらに高度の研究・教育に付かせようとする制度である。

神童とよばれたノーバート・ウィーナー は、この制度で大学研究の序列を駆け上がった。

飛び級は、ご存じように戦争状態において 武功をあげた軍人や勇敢に戦って戦死したものが特別に昇進する現象と同じである。

【戦士=戦死について】

戦争は、基本的に兵隊の死を燃料とするエンジンである。味 方の戦死者を最小に、敵の戦死者を最大にという戦術・戦略は、戦争における最大の意義――敵に勝利すること――にかなう。しかし、味方の戦死者をゼロにす ることは、技術的に不可能である。また、戦死者ゼロの戦争は、古典的な戦争の理念からは逸脱してしまう。

しかし、大学制度には、これとは違った、 そして組織的にはより社会的意味のあった飛び級(正確にはそうとはいえないかもしれないが)があ る。

戦争状態あるいは、戦争が終わったあと に、大学が空っぽになった状態になり、即席に大学教育を授け、早く前線に送るか、早く社会に戻さねば ならない履修状況があったのだ。軍医など、即席に要請しなければならない資格については、それまでの大学における正統な教育システムから逸脱する――例え ばリベラルアーツの教育を省く――場合、学部のほかに臨時の学校をつくって、飛び級システムのバイパスまでつくったことが歴史上ある。

飛び級は、学問上あるいは交戦上(私から みればそれらは同じものである)の理由により、大学制度に確固たる地位を得たのである。

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