ジェームズ・ジョージ・フレーザー
解説:池田光穂
1854年1月1日 スコットランド・グラスゴーで生まれる( Sir James George Frazer, 1854-1941. by Trinity College Chapel)
n.d. ヘレンバー大学、グラスゴー大学に学ぶ
1873年 出版されたばかりの、タイラー『未開文化』(Edward Burnett Tylor, 1832-1917)を読む
n.d. ケンブリッジ大学トリニティカレッジ・アラビア語教授(旧聖書学者)ロバートソン・スミス(William Robertson Smith, 1846-1894)と邂逅。
1879年 ケンブリッジ大学フェロー(特別研究員)
1885年 未開人の霊魂観に関する2論文(R・スミス『古代アラビアの血族関係と結婚』)
1885年5月10日ロンドン人類学会会合発表「魂に関する未開理念を例証する埋葬習慣について」フランシス・ゴールトン(Francis Galton,
1822-1911)司会、出席者
にハーバート・スペンサーやE.B.タイラーなど。
1887 Totemism
1889年 「トーテム」『ブリタニカ百科事典』第9版(R・スミス『セム族の宗教』)
1890年 『金枝篇』二巻:The Golden Bough: a Study in Magic and Religion, 1st edition
1898年 人類学の授業初めてケンブリッジ大学で承認
1900 The Golden Bough, 2nd edition: expanded to 6 volumes (1900)
1906 The Golden Bough, 3rd edition: 12 volumes (1906–15; 1936)
1908年 4月リヴァプール大学教授(〜08年9月)に赴任、34年間過ごしたケンブリッジを去る[アッカーマン 2009:424-428]しかし同大学にいたのは5ヶ月
1909年 『プシュケーの仕業(Psyche's Task)』
1910年 『トーテム崇拝と異族結婚(Totemism and Exogamy)』四巻
1913-1924 The Belief in Immortality and the Worship of the Dead,
3 volumes
1914年 ナイトに叙せられる: ケンブリッジ大学のPublic Lectureship を得る。『金枝篇(第3版)[pdf]』
1915年 『金枝篇』十二巻[→フレーザー『金枝篇』The Bolden Bough]
1915-22年 『不死信仰と死者崇拝』三巻
1918年 『旧約聖書のフォークロア(Folk-lore in the Old Testament)』三巻
1920 『金
枝篇(第3版の増補版)[pdf]』
1922年 『金枝篇・簡約版』one-volume abridgement
1923年 『旧約聖書のフォークロア・簡約版』(ア デレード大学ウェブ版)
1925年 メリット勲章
1926 The Worship of Nature (1926) from 1923–25 Gifford Lectures
1927 The Gorgon's Head and other Literary Pieces
1927 Man, God, and Immortality
1928 Devil's Advocate
1929 Fasti, by Ovid (text, translation and commentary), 5 volumes
1930 Myths of the Origin of Fire
1930 The Growth of Plato's Ideal Theory
1930年 視力を失う
1933 Condorcet on the Progress of the Human Mind
1933年 『未開宗教における死者恐怖(The Fear of the Dead in Primitive Religion)』
1935 Creation and Evolution in Primitive Cosmogenies, and Other
Pieces
1937年 『トーテミカ』、『金枝篇』十三巻
1941年5月7日 死去
■用語法
共感呪術(Sympethetic Magic):呪術の論理は、合理的な考えではなく、非合理的な認知と情動の結びつきによる、すなわち共感からなりたつとジェームズ・フレイザー(『金枝 篇』)は考える。これらを可能にするのは、共感の法則(law of sympathy)によるものである
類感呪術(Homeopathic
Magic)は、類似のもの(例えばヒトガタの人形)の本体に釘や針刺す(=人形に危害を加える)ことで、実際の犠牲者に危害を加えると考えて実践する行
為である。この論理を支えているのが、類似の法則(law of similarity)である。
感染呪術(Contagious Magic):接触によって伝達される。呪いたい対象(人・動物・モノなど)の一部を入手して、それに呪いをかけると、呪いが作働すると考える。この呪術 がなぜ有効性をもちうるかを支える論理は、呪いをかける対象が触ったり、身に付けているものである。ないしは、その身体の一部(爪や毛髪)だからである。 これを支えるのが接触の法則である(law of contact)。この論理を裏返すと、ある人間の本質は、その身体の一部と関連して伝達される。つまり、闘った敵の身体の一部(頭の皮)を剥ぐことで、 その敵の強さが得られると考えることである。後者の例は、北米先住民のミナターレ族(the Minnataree)の「戦勝頭皮祭り」にみられる(『図 説金枝篇(上)』口絵2=下図)
Scalp dance of the Minnataree, a sub branch of the Sioux
Indians, painting by Karl Bodmer (Wikipedia, Scalping)
リンク
文献