現場力とコミュニケーション
《第7回》
プロセスレコードの批判的研究(1)記録すること
講義目的
プロセスレコードとはなにか? またこのような「現場」の記述の技法は学習者にどのような効果を生むと考えられているのだろうか。院生との議論を通して、プロセスレコードの可能性と限界をさぐる。
講義内容
プロセスレコードとは、ヒルデガルド・ペプロウ(1952)によって提唱された、看護の臨床の現 場における、対人関係とくに看護者と患者の間の相互作用にかんする文章による記録のことであ る。この記録の形式は、アイダ・オーランド(1972)による、看護過程論(nursing process) による議論を受けて、看護者が患者の(対人相互作用による)行動を、知覚分析し、それにもと づいて、看護者がどのように行動をおこなったかを、出来事の後で、内省的な観察を加えて記述 する方法へと洗練化された。また、プロセスレコードを看護者の内省的観察を実践する際に、ア ーネスティン・ウィーデンバック(1962)は、5つの自己評価項目を標語化(つまりテーゼ化) し、プロセスレコードを記述することを、一連の行動の連続(シークエンス)をひとかたまりの 単位(ユニット)として抽出すること、ならびに、それらの一連の行動を、ひとつの意味のある (=分析に値する)行動と知覚の連鎖として記述するという技法の形にとりまとめられることを 明らかにしている。
配布資料
さまざまなプロセスレコード(pdf書類)
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