現場力とコミュニケーション
《第11回》
他者理解とコミュニケーション:共感と自己開示
講義目的
共感と自己開示をキーワードにして、自己開示が共感とどのように関連するのか、みんなと共に考える。
講義内容
同情(sympathy)とは違う共感(empathy)。対自共感と対他共感。そして,対自他的共感。共感とは、相手の感情や認識と自分のそれと混交するだけでなく、自分の感情を手がかりにしながら、あたかも相手の感情を推し量ることである。クライエントの立場に立って、その心情をありのままに感じ、それを伝えるというコミュニケーションのことである。対自的共感は,自己理解の課題と関わる概念であり,対他的共感は,相手理解の課題と関わる概念である。つまり、共感することとは、共感的コミュニケーション(交流)が、その本質であって、共感性とはそのようなコミュニケーションを可能にする個人の態度ともいえる。それを可能にするキーワードのひとつに、他者との境界を調節する自己開示がある。
文献
-Lewis,J., 2003, Community Counseling: Empowerment strategies for a diverse society. 3rd ed. Pacific Grove, CA.: Brooks/Cole Pub..
-Ivey, A., 2002, Counselling and Psychotherapy: A muturral perspective. 4th ed.. Boston, MA.: Allyn and Bacon.
・宮本真巳 1988 「自己理解は援助にどうつながるか?」『こころの看護学』2(3):241-242.
・ 井上孝代編 「共感性を育てるカウンセリング」川島書店 2004
・ 国分康孝『心を伝える技術−自分を知り,相手を知る心理学』PHP新書
・ Valerian J. Derlega 、 Sandra Petronio 、 Sandra Metts 、 Stephen T. Margulis 著 斉藤 勇 、 豊田 ゆかり訳『人が心を開くとき・閉ざすとき−自己開示の心理学』
注意:このページは中西淑美先生が配布した資料をもとに、池田光穂がその授業内容をまとめたものです。
● はじめにもどる