現場力とコミュニケーション
《第12回》
アドリブについて:即興、再現困難、不確実
講義目的
臨床という現場における、アドリブ(即興)の妙というものの力を具体的な社会的事例を交えながら考察する。
講義内容
浪曲(浪花節)には、曲師ひく三味線が入るが、これらの間には詳細な打ち合わせがおこなわれず、浪曲師の謳いにあわせて、曲師は三味線の曲想ならびに拍子を合わせてゆく。
このような伝統芸能における即興の妙は、日常生活とは無縁のところだけで行われているものではないだろうというのが、本講義の主張である。
臨床の現場においても合い三味線が即興の妙を披露するのと同様に、さまざま即興的行為やそれらの社会的行為の交換が行われる。
西川(2001)における、牛乳のエピソードが、自発的に考えることなく思いつくという経験を、著者自らが語り、アドリブ(即興)がもたらす社会的行為――看護の場合には患者の制御という課題が含まれる――のさまざまな可能性について考えてみた。
受講する院生は、各自、自らの臨床経験のなかにおけるアドリブ(即興)経験が臨床の現場をスムースに進行させたという経験を中心に話し、それが、なぜうまくいったのかについて語りあってください。
文献
西川勝「ガラスを包む」『精神看護』4(5):79, 2001
注意:このページは西川勝先生が配布した資料をもとに、池田光穂がその授業内容をまとめたものです。
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